自信をなくすのは、指示を出すことが原因 ~名監督・ミゲル流「急がば回れ」の極意

[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]

今日からいよいよ9月。長い夏休みが明けた今、気付くことがありませんか? 目をキラキラ輝かせて成長したなと思わせる子供がいる一方で、なんだか元気がなく意気消沈している子供がいるということです。そのことを裏付けるかのように、9月1日は18歳以下の自殺が多い日だというショッキングな情報もありました。

自信をなくしてしまうのは、自分で決めていないから

どうしてこんなに違ってしまうのでしょう。私の観察によると、子供たちが夏休みの間、自分のやりたいことをやれたかどうかで決まります。

例えば、夏休みの計画を、親から「早く計画を立てなさい!」「早くしないと終わっちゃうでしょ!」「なんでやらないの?」「もう遅いわ」「何をやっているの!」と言われたとしましょう。すると子供たちは「今やろうと思っていたのに…」「もう僕に私に任せてよ!」「やる気なくなっちゃうなぁ」「お母さんが勝手に決めたことでしょ?」という気持ちになってしまいます。

こんな気持ちのままでは宿題は終わることがなく、子供たちは自信がなくなり意気消沈してしまうのです。

一方、自分で決めてやりたいことをやっている子供たちは自信を持ち何事にも積極的です。だから、宿題もすぐに終わらせ目を輝かせています。

どうすれば子供たちが自分で決断し自信をつけていくのかを、今回もスペインから日本にやってきたサッカーの名監督・ミゲルさんに教えてもらいましょう!

すぐに指示を出して従わせるのではなく、まずは考えさせるところから始める

ミゲルさんは、まずは子供たちの練習をじっと見つめて観察します。そして子供たちが自分で考えて決断をしていないことを見抜きます。そういう時はたいてい、子供たちはコーチの言われた通りに動いているのです。

コーチはセオリー通りにやれば子供たちは上手くなると信じているので、指示を出し続けます。例えば、「自分たちのゴール付近ではボールを回すな。遠くで回せ!」といったように。

すると子供たちは、ボールだけを追ってまわりの動きを見ることはほとんどありません。メンバーがどんな動きをしているのか、次はどこへパスを回せばいいのか考えることもなく面白くなさそうです。

でも、ミゲルさんは違います。普通のコーチなら「こういう場合はこうしろ!」と指示を出す場面で、まずは笛を吹いてプレーを止めるところから始めます。

「太郎、このときはどうすればいい?」と太郎くんに考えさせます。「敵がこういう状況なら、どうすればいい?」と丁寧に状況を説明し質問して、太郎くんに考えさせるのです。

失敗してもすぐに指示は出さない。成功すれば褒める!

すると太郎くんは「こうするほうが、いいと思います」と答えます。するとミゲルさんは「やってみよう!」と、太郎くんの考えを否定しません。すぐにプレーをさせます。

ただし上手くいかなければ、すぐにプレーを止めます。「太郎、今のプレーをどう思う? ここを切り抜けるには、どうしたらいい?」と再び太郎くんに考えさせます。ここでも子供たちの考えを決して否定せず、子供たちの判断を尊重します。

もし答えが思いつかないときは、「AプランとBプランと、どっちがいいと思う?」と案を出しますが、最後は必ず自分で決めさせます。

そしてプレー再開。プレーを観ながら太郎くんが決めたことが上手くいけば、つかさず「太郎、いいよ! いいよ!」と褒めます。他の子にも「うまいうまい。ネイマール」と声を張り上げて褒めています。太郎もネイマールもとっても嬉しそうです。

ミゲルさんは、子供たちに自分で考え決断させてプレーさせています。上手くいかなければ、またそこで考えさせます。そして、上手くいけば褒める。この繰り返しをしているのです。

ずっと命令ばかりしていたら、自分で考える力も自信も、永久に身に付かない

このようなミゲルさんの指導を受けていくと、いつの間にか子供たちは、自分で考えて決断できるプレーを身に付けていきます。今までの「やらされていたプレー」から「自分のやりたいプレー」に変わっていくのです。すると子供たちに自信がみなぎってきます。

やらされるプレーだと、子供たち自身が納得していないこともあります。これで仮にうまくいったとしても、成功した理由が彼ら自身として腑に落ちていません。ではなく、自分たちで考えたうえで決めたプレーでうまくいけば、自分がよかれと思ってしたプレーなので、なぜ成功したのかが理解できるのです。

それに今の世の中、何が起こるかわかりません。正解なんてないにも等しい状況です。サッカーだって同じ。コーチや監督の考えが正しいとも限りません。だったら、プレーする子供たちに考えさせるのも一概に間違っているとはいえません。

家では親、会社では上司が、知らず知らずのうちに決断のチャンスを奪っています。自分たちの経験や世間一般の成功から、こうやった方がいいと押し付けてしまいがちです。

しかし、それでは子供たちも部下も決断することができません。ずっとやらされるプレーのままで、自信が生まれることはないでしょう。

ですから、どんな状況でも自分で決めて行動できる力をつけさせないといけません。ミゲルさんのやっていることは、子供たちにそんな決断できる力をつけさせているのです。

子供や部下自身が決めなければならないときは、「こういう成功事例もあるよ。でも決めるのはあなた次第」と伝えて考える時間を与え、じっと待つことが重要です。そして決断したら、その決断したことを「よく決めたね!」と褒めてあげしょう。

もし上手くいっていないときは、ミゲルさんのように笛を吹いてプレーを止め「どうする?」と考えさせてあげればいいだけ。答えがないときは「AプランとBプランと、どっちを選ぶ?」と選ばせましょう。

自分で決める機会と時間を親も上司も意識して与えれば、子供たちも部下も自信が生まれます。さらに一歩前進したことを褒めてあげれば自信100倍です。

もし、そうしなければ、一生自分で決められない自信のない子供たち、部下になってしまいます。

一見遠回りのようですが、それはその場限りの話。長期的に子供や部下を成長させることを考えれば、決して遠回りではありません。「急がば回れ」の意味は「危険な近道より、遠くても安全確実な方法をとったほうが、最終的には早く目的を達することができる」。この一度考えさせる指導方法も、急がば回れの好例といえるでしょう。

今回の自信のつけ方のポイント
1.自分で考え決断できる機会をつくる
2.一歩前進したら、いいねと褒める

続きは、次回のお楽しみに・・・!(^o^)v

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