
「あなたのミス、大歓迎!」「謝るのはむしろ親や上司が率先して」byミゲル名監督
[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]
9月も半ば、空は高くなり虫の声が聞こえてきていますね。季節の変わり目、お子さんや部下に変化はないですか。もしお子さんや部下の失敗とかミスが目立つようであれば、危険信号かもしれません。
そんなときどんな対応をとればいいのでしょうか。私のこれまでの人材育成の経験を踏まえると、子供たちや部下が心の扉を閉じずに成長できるかできないかは、失敗やミスをしたときに親や上司がどういうかかわり方をしたかによって決まります。
失敗をしたとき「何をやっているの!」「どうしてこんなことをするの?」「〇〇ちゃんはうちの子じゃない」なんて言われた子どもは、自信がなくなり心の扉を閉めてしまいます。そんなことになっていないのを祈るばかりです。
逆に失敗やミスをしたとき、どのように接すれば子どもたちや部下が成長できるのか、スペインから日本にやってきたサッカーの名監督・ミゲルさんに今回も教えてもらいましょう。

「ごめんなさい」と言った数だけ、自信はなくなる
私たちの多くは、ミスを見つけようとします。これは人間が、昔から身を守るための本能による行為なので、仕方のないことなのです(詳しくは長くなるので、次の機会にお伝えします)。
だから、普段の生活や仕事においても、ダメなところやミスに目がいってしまいます。それでついつい、お子さんや部下を叱責(叱って責めること)してしまうのです。
すると、返ってくる言葉はたいてい「ごめんなさい」。そして、私たちは「わかった? 次から気をつけなさい!」で終わります。
ところがこの接し方では、反省どころか相手に自信を失わせているだけです。おまけに、次に何をすればいいのかもわかりません。残っているのは、自分はダメなんだという自己否定だけ。だから「ごめんなさい」の数だけ自信がなくなっていってしまうのです。
相手の能力によって、ヒントの出し方を変える
でも、ミゲルさんは違います。子どもたちがミスをすると、笛を吹いてプレーを止め、「今のプレー、どうだった?」と子供たちに質問して考えさせます。自分のミスの原因がわかった子は、「ここを直します!」と言ってプレーを再開します。
ただ多くの子供は、「何がミスだったのか」も「なんでミスしたのか」もわかりません。ここでもミゲルさんがすごいなと思うのは、子供たちと一緒にまわりの状況やゴールの位置など、360度ぐるりと見渡して、ミスの原因を一緒に考えるところ。
例えば、「太郎があそこにいて、相手がここにいる。ゴールはあそこだからネイマールはどこへボールを出せばいい?」と具体的に状況を把握させて考えさせます。すると、子供たちが「あ、そうか。この状況なら、こうしたほうがよかった!」と自分で気がつき「じゃ、それでいこう」と子どもの背中を押します。
それでもわからない子の場合は、前回もお伝えしましたが選択肢を与えます。「Aプラン、Bプラン、Cプラン。賢治だったらどれがいいと思う?」といったように選択肢を与えて選ばせるのです。子どもたちの能力によって、接し方を変えるのが、さすがですよね。

怒ることより、ミスから学ぶ楽しさを教える
ミゲルさんは「何をやっているんだ!」「お前はダメだ!」など一度も怒ったことがありません。常に言っていることは「ミスをしてもいい。ミスは学ぶためにあるもの」と。
なぜなら、怒ることは子どもたちが成長するためにまったく効果がなく、むしろ自信を奪ってしまうことだと知っているからです。ミスから学ぶ楽しさを体験することが、自信をつけ上手くなっていくこと(成長)だとわかっているのです。
ミスを悪いことだととらえるのではなく、ミスから学べば上手くなれると子供たちが体感することで、上手くなっていく(成長の)喜びを覚えていきます。だから、ミスへの恐怖がなくなります。むしろ、挑戦しないことが楽しくないことだと意識が変わっていきます。
誰だって上手くなれれば嬉しいもの。そして、少しでも上手くなった時に「いいね。できたね!」と言ってあげることも、ミゲルさんは忘れていません。ミスから学び実践したことの喜びが倍増します。楽しさ、喜びを体験させることが、子供たちや部下に自信をつける秘訣になるのです。そしてミゲルさんの素晴らしいところは、誰よりも子供たちの成長を信じていることです。
ミゲルさんのようにできない方へ
でも、ミゲルさんのようにできませんという方、どうしても怒ってしまう、もう怒鳴ってしまった方へ、私からお勧めのフレーズをプレゼントします。
一つ目が「I(私)メッセージ」です。「お母さんは悲しい!」とI(私)を主語に気持ちをお子さんへ伝えてください。お子さんは、お母さんが悲しいんだと感じます。するとお母さんの話しを聴こうとします。そのとき「お母さんは、〇〇ちゃんにこうなってほしいの」と伝えてみてください。
もう一つは、怒鳴ってしまったときは「怒鳴っちゃってごめんね」と、怒鳴ったことを謝ってください。お子さんは、お母さんは間違ったことをちゃんと謝れる素敵なお母さんなんだなと、お母さんを愛おしく思い心を開いてくれます。
そうすれば、「間違ったことはちゃんと謝ることが大事なんだ。だから自分も間違ったときはちゃんと謝らなければいけないな」ということまで学んでくれます。
このことは、お父さんや上司でも全く同じです。もし怒ってしまったとき、怒鳴ってしまったときに使ってみてください。勇気のいることですが、その勇気が子どもや部下を動かします。

ミゲルさんのようになれないと多くの人が思っているかもしれませんが、できるかできないかではなく、一歩でもミゲルさんのようにやろうとする意識が大事。子どもや部下は、親や上司のその努力を実はよく見ているものなのです。
ミゲルさんになれなくても、ミゲルさんのようになろうとする姿勢を見せるだけでも、子供たちや部下は確実に変わっていきます。
今回の自信をつけるポイント
・誰よりもお子さんや部下の成功を信じてあげる
・ミスから学ぶ楽しさを教えてあげる
・ごめんなさい!を言わせる習慣をやめる。むしろ謝るのは、自分から率先して行う
続きは…、次回のお楽しみに!(^o^)v
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