
「もっと頑張りなさい!」はもちろん、「よく頑張ったね!」。どっちも禁句です。
[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]
2022年が始まりました。今年は何を頑張りたいと思いますか?
と何気なく年始のご挨拶をしましたが、実はこの「何を」がすごく重要なのです。そこで今回は、なぜ「何を」が重要なのか、それをお伝えします。
叱るときに、まさか「もっと頑張りなさい!」と言ってませんか?
ところで、お子さんや部下にこのような言葉を使っていないでしょうか。
叱るときは「もっと頑張りなさい!」
褒めるときは「よく頑張ったね!」
一見、当たり前の言い方に思えますが、実は要注意。というのも親や上司の想いが必ずしも、お子さんや部下に正しく伝わっているとは限らないからです。限らないというか、全然伝わっていないことのほうが圧倒的に多いと思ったほうがいいでしょう。
お子さんや部下の立場に立って考えてみればわかります。「もっと頑張りなさい!」って言われても、具体的に何をどう、もっと頑張ってほしいのでしょうか。例えば、「もっと早く行動してほしい」と思っているだけなのに「もっと頑張りなさい!」だけだったら、お子さんや部下は何を頑張ればいいのか、さっぱりわかりません。
とりあえず、がむしゃらに思いついたことをいろいろと試すかもしれませんが、それが親や上司が求めるものと違うことは十分にあり得ます。するとまた「もっと頑張りなさい!」とだけ言われて途方に暮れてしまい、しまいには「自分はダメな奴なんだ…」となって、自分を全面的に否定してしまうことになりかねません。特に真面目な人ほど努力しますから、報われない分のダメージは大きくなります。
褒め方も間違えると、相手の自己肯定感を下げてしまう
褒めるときの「よく頑張ったね!」だって、うかつに使ってはいけない言葉です。「褒めてるんだから、別にいいじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、もう少し私の話を聞いてください。

というのも、何をよく頑張ったのでしょうか。例えば、毎日コツコツと勉強していたことを褒めてもらいたい子どもの場合、そのことを褒めてもらっているのがちゃんとわからないと、寂しくなってしまいます。
お子さんや部下の頑張りの中身を正しく理解しないまま、叱ったり褒めたりすると、相手に自分の伝えたい想いが伝わらないばかりか、必要のないプレッシャーや不信感を与えてしまい、自信を奪ってしまうことになりかねません。
多くの家庭や職場では、こうしたお子さんと親、部下と上司のコミュニケーションのズレが生まれてしまっています。無意識に使っている言葉が、お子さんや部下の自信を奪ってしまっているのです。
「頑張り」には4種類が存在する
ところで、「NLP(神経言語プログラミング)」と呼ばれる1970年初頭に開発された心理学があります。このNLPに「ニューロ・ロジカル・レベル」という考え方があり、これを読者向けにわかりやすく私なりにアレンジしました。(下図を参照)

ピラミッドの一番下には、結果があります。結果は、結果の上にある行動から生まれます。行動は、行動の上にある能力から生まれます。能力は、能力の上にある意識から生まれます。意識は、アイデンティティ(役割・価値観・信念)から生まれます。
ここで、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは、親や上司が「何をやっているんだ。もっと頑張れよ!」と叱ったとき、お子さんや部下は「結果」「行動」「能力」「意識(意欲)」、そして「アイデンティティ(人格)」すべてを否定された気持ちになるということです。その気持ちは自信の喪失につながります。
例えば、お子さんがテストで30点だったとしても、自分なりに毎日勉強した「行動」があったかもしれません。テストの出題範囲は苦手だったとしても、それ以外の範囲は得意だという「能力」があったかもしれません。そして、「お母さんやお父さんに、いい点数を見せるぞ!」と決めて頑張った「意識(意欲)」があったかもしれません。
親や上司が、それらの頑張りに気がつかずに、ただ「頑張りないさい」と叱ったとき、お子さんや部下の頑張った「結果」「行動」「能力」「意識(意欲)」、すべてが報われなくなります。
だから、アイデンティティ(人格)も否定されたと思い、自分をダメな子もしくは人間だと思い込んでしまい自信をなくしていきます。
自信を付けさせる叱り方ができる人は、頑張りを上手に分解して観察している
もちろん、頑張っていない「行動」や「意識」もあるかもしれません。だから、頑張りを“分解”して、どこを頑張っていたのか、どこをさぼっていたのかを理解した上で叱る必要があるわけです。
もし、テストの結果は残念だったけど、「毎日勉強していたのは見ていたよ。頑張ったよね!」と言われれば、子供は勉強を続けたくなります。

お子さんや部下の自信を奪う親や上司は、結果だけを見て「何をやっているの、もっと頑張りなさい!」と叱ってしまいます。
一方、自信をつけてくれる親や上司は、結果だけではなく、結果を生み出す「行動」、行動を生み出す「能力」、能力を生み出す「意識」、すべてに目を向けた上で、「結果は残念だったけど、〇〇は頑張ったよね! でも××はもっとやったほうがよかったから今度は~をしようね」と言います。頑張ったところをしっかりと認めてあげた上で、今後するべきことも具体的にアドバイスします。
親や上司が、何を頑張っているのかを気づいてあげることで、子供たちや部下たちが元気になり自信をつけていくということです。
もしかすると、子供や部下の頑張りは、親や上司にとってほんの小さなこと、もしくは気づきにくいことかもしれません。でも、お子さんや部下の日ごろの変化を気にかけていると、見えてくるものです。「おはよう」の挨拶や何気ないおしゃべりなどしながら、日ごろの小さな変化に目を向けてみましょう。
次回は、自信をつけるための褒め方をお伝えします。お楽しみ!
(※参考文献:『部下が変わる本当の𠮟り方』明日香出版社)

人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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