
その褒め方、間違ってます。犯罪者になってしまうリスクをはらむ褒め方とは…!?
[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]
もしお子さんがテストで100点をとってきたら、どんな褒め方をしますか。「すごーい。100点満点!」と多くの方が褒めると思います。これはこれで大切なことなのですが、この後のフォロー次第で、恐ろしいことになってしまうのです…。
恐ろしいこととは?
100点という“結果だけ”を褒めていると、100点をとるための手段しか考えなくなります。なぜなら、100点以外のときは、誰も喜んでくれないし、褒めてもらえないと思ってしまうからです。親は、そんなことは考えていないのに、子供たちは自分としては頑張って90点や80点をとっても、喜んでもらえないと勘違いをしてしまうのです。

すると、子供たちは親のご機嫌を取ることばかり考えたり、勉強の内容よりテストに出題されるところだけを覚えようとしたりと、間違った手段で結果を出そうとしてしまいます。最悪なケースとしては、カンニングまで考えてしまうことがあります。これでは本末転倒です。「人としての道を外れていいから手段を択ばず、結果さえ残せばいいんだ」と勘違いして、将来が真っ暗になってしまうかもしれません。
知ってるようで知らない「褒める真の目的」「自信の正体」
褒める目的は、自信をつけて、目標達成のためによい結果をもう一度出すことにあります。さらには、もっとよい結果を出してもらうために行う行為でもあるのです。
そのためには、繰り返しになりますが、「よりよい結果を出すための再現性ある【行動】」「その行動を生み出す【能力】」「その能力を生み出す【意識】」「その意識を生み出す【アイデンティティ(人格)】」をポジティブな方向へ導いていく必要があります。以上が達成されることが、本来あるべき褒める目的です(下図を参照)。

結果だけを褒めていると、誤った行動・能力・意識・アイデンティティを持つようになってしまいます。優秀な子供達がいつのまにか伸びなくなってしまうケースは、ここにあると私は考えています。
どんな褒め方をすれば自信をつけられるのか?
では、100点とったときにどんな褒め方をするのが正解なのか。「うちの子は100点なんかとらないし、30点ぐらいだからから関係ないよ」と考えている親御さんも、プロセスは“同じ”なので必見です。次回のコラムでその辺は詳しく紹介します。
もし子供がいない方も、あなたが親になったつもりで、お子さんとの対話と思考の流れの体験をしてみましょう。
この褒め方の流れは、ビジネスシーンにおいてももちろん使えます。親を上司、子供を部下にして、自分が上司になったつもりになれば同様に再現できます。
親「すごーい! 100点満点」
子供:ニコニコ笑顔
親「そうだよねー、〇〇ちゃんは毎日勉強していたもんね!」(毎日勉強する【行動】を褒める)
子供:うんうん(そうだそうだ。毎日勉強したなー。毎日の勉強が大事なんだ)
親「そうだよねー、〇〇ちゃんは諦めずに勉強したもんねー」(諦めない【能力】を褒める)
子供:深く「うんうん」(僕は(私は)、諦めなかった! 諦めないことが大事なんだ)
親「そうだよねー、〇〇ちゃんは、宇宙に興味があったんだよね。大きくなったら宇宙飛行士になりたいんだよね!」(宇宙に興味をあることを言語化してあげる。宇宙飛行士になろうという【意識】を褒めて、将来に宇宙飛行士になった姿をイメージできるようにする)
子供:目を輝かせて、「うーん、そうだよ、そうだよ」(僕は(私は)、そうだ、宇宙に興味があるんだ。宇宙飛行士になるんだ!)
と褒めていくと、宇宙飛行士になろうとしている自分を好きなることができ、自信を持てるようになります。

この例をおさらいしますね。
宇宙飛行士になりたいという【意識】と【価値観】が働くことで、諦めないという【能力】が生まれます。諦めないという【能力】があるから、毎日勉強するという【行動】が生まれます。毎日勉強するという【行動】があるから、100点がとれる【結果】が生まれます。
ですので、お子さんを褒めるときは【結果】にこだわるのではなく、その結果を生み出している【行動】【能力】【意識】に気がつかせて褒めてあげるのが大事。お子さんは「自分はできるんだ!」という【意識】を持てるようになります。するとお子さんは自分を認められるようになり、自信がついていきます。
結果が出てなくても、褒めることなんていくらでもある
自信とは、大事な話なので繰り返しますが、自分を自分で認められることでしか生まれません。そのきっかけになるのは、自分を好きになること。
ですから、自分を好きなれるように褒めることが重要です。カンニングする自分は絶対に好きになることはできませんよね? 結果だけを褒めていると、そのカンニングに走ってしまうこともあり得ますから、大きな落とし穴があることがおわかりいただけたでしょうか。
今回は100点のケースを紹介しましたが、100点でなくても、お子さんなり部下の【行動】【能力】【意識】に焦点を当て、それらが少しでも前向きなことがあれば、そこを褒めてあげてください。
何も褒めることがないという方は、結果だけを最初に褒めるべきこと(出だし)だと思っているからかもしれません。まだ結果が出ていなくても、その子の好奇心や関心を言葉に出して認めてあげてください。好奇心や関心を言葉にしてあげるだけで、【意識】や【行動】を褒めることにつながり、その子の可能性そのものを褒めることになるからです。
今この瞬間から未来は、本人の意志でどうにでもなります。未来のなりたい人をイメージできるように、可能性を誰よりも信じてあげれば、自信はついていきます。
(※参考文献:『部下が変わる本当の叱り方』明日香出版社)


人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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