「無能」ではなく「個性」。そうとらえることで、自信を付けさせることができる

[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]

ゴールデンウイークが終わり日常の仕事に戻ったら、なんだかイライラしていないでしょうか。せっかく連休でリフレッシュしたはずなのに、できない部下を見てストレスがたまることが多くあります。

今回は、イライラ上司がどうやってニコニコ上司になって、部下の自信の芽を伸ばしていくかお伝えします。今回の記事は、上司を親、部下を我が子としても、同じように参考になりますので、部下がいない親御さんもぜひ一読くださいませ。

イライラするのは自分がある意味優秀、できる人であるがゆえ

できない部下がいると、どうしてもイライラしてしまいます。
「なんでこんなにモタモタするんだろう…。もっと、早くできるでしょ?」
「なんでこんなに雑なの? もっと、きれいにできるはずなのに…」

このように「もっと、もっと」と思ってしまいます。私もその一人だったので十分その気持ちがわかります。現場責任者だった頃の私は「なんで部下は私と同じようにできないんだ?」といつもイライラしていました。「仕事が遅い」「やることが雑」「真剣さが足りない」などなど、イライラする原因を挙げていったらキリがありません。

ただ「もっと、早くできるでしょ?」「もっと、きれいにできるはずだろ」の「もっと」は、誰と比較しているのでしょうか。実は、私を含め上司の自分と部下を比較してしまっているのです。新入社員のときの自分をすっかり忘れて、上司になった今の自分と比べて「もっと」できるだろうとイライラしてしまっているのです。

上司のイライラは部下にとって恐怖でしかない

上司がイライラしていると部下はどうなるでしょうか。そんな上司のイライラエネルギーは、部下にとって恐怖です。「違うだろ?」「なんでできないんだ!」「~すべきでしょ」――これらの言葉は、部下の自己防衛本能を働かせてしまいます。人は、恐怖を感じたら安心安全を守る本能があるからです。

上司の言葉に恐怖を感じた部下は、その言葉を耳に入らないようにシャットアウトします。そして心も閉ざしてしまうのです。結果として「言い訳」「受け流し」「無関心」「反発心」というかたちで、自分を守る自己防衛本能を発揮してしまいます。これでは、部下の成長しようとする自信の芽を育てるどころか、摘んでしまうだけです。

思い出してほしい二つのこと

ここで思い出してほしいことが二つあります。一つ目は、上司のあなたは他の人より仕事ができるから、さらには優秀だから上司になったことです。つまり部下は、あなたより仕事ができなくて当たり前。この事実を認識してください。

「もっと、もっと」は自分を基準とした判断に過ぎないわけです。こんなふうにジャッジしてイライラしていても、不安や恐怖を生み出すだけで、お互いにいいことは何も生まれません。部下は委縮するばかりで、自信は衰える一方となってしまいます。

思い出して欲しいことの二つ目は、上司のあなたの仕事は、部下を動かして組織としてゴールを達成することです。そのために、部下が自分に自信を持って役割を全うすることが必要になります。

そのとき、上司のあなたは何をすればいいのでしょうか。イライラして部下を恐怖で怯えさせることではないはずです。そうです。部下を安心させて、積極的に動いてもらうことなのです。

違いなり個性は、神様が与えてくれた宝物

考えてみてください。世界の人口は約77億人、それぞれ違った個性を持っています。歴史をさかのぼれば、人類は大昔から個々が違うことをして生き延びてきました。

大自然の過酷な環境一つにしても、砂漠あるいは熱帯雨林のアフリカの人たちは暑さに耐え、イヌイットは寒さをしのぎ、山岳地帯の民族は薄い酸素でも過ごすというように、様々な個性を発揮して今に至っています。

決して、どの人が優れているというわけではないですよね? でも、すぐにイライラする上司というのは、自分だけの狭い価値基準だけで他人を判断しているので、先の例でいえばアフリカ人が一番優れているとか平気で思ってしまっているのと同じなのです。

どんな状況でも人類の誰かが生き延びるために、それぞれの個性を神様が与えてくれたのだと私は信じています。

だから人は、顔つき、体格、能力、そして考え方(価値観、信念)が違うのだと。それは、目の前にいる部下も同じこと。それぞれが自分と違うのです。

「もっと」ではなく「違い」に気づけば、イライラは関心に変わる

上司のあなたが、部下に「もっと」ではなく、部下との「違い」に気づいたとき、「イライラ」は部下への「関心」に変わっていきます。このとき部下は「あ、この上司は私のことに関心を持ってくれているな」とはじめて安心できるのです。なぜなら、部下本来の姿を受け止めてくれているからです。

同時に、上司のあなたも部下に対する気持ちが「もっと(できるはずなのに、なんでしないんだ?)」という批判から「(ここが違うのかという)関心」という受容に変わることで、心が軽くなります。このとき上司のあなたは、ニコニコ上司になっています。

さらに、「この部下は、こんな個性というか才能があるんだ」と気づくことができます。できない部下という思い込みもなくなり、部下の可能性(自信の芽)も見つけ出すことができるのです。

同時に上司のイライラエネルギーがなくなるので、部下も自己防衛本能を解除することができます。すると部下は、自分の可能性を信じて、自信を付けていくことができるのです。また、上司の話をもっと聞いて、取り入れてくれるようにもなるなど、いいことばかりです。

次回は、「あのとき(部下と上司である自分との)違いに気づいておけばよかった…」と後悔しないように、違いを見極める方法と、それぞれの違いを活かした自信の付け方をお伝えします。お楽しみに!

※参考文献『部下が変わる本当の叱り方』明日香出版社


人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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