どんなタイプでも自信を付けさせる【vol.2】やる気があるけどスキルの低い場合

[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]

新人タイプは、何かの役に立ちたいと思っている

最近、職場を見渡して元気のない新人さんがいないでしょうか。新年度が始まって2か月が経つと、あんなに意気揚々と目を輝かせていた新人が、どうも元気がないなと感じることが多くあります。

もし、そんな新人さんがいたらもったいない話です。将来、優秀な社員になるはずが、無気力な社員になってしまうか、辞めてしまうかもしれませんから。

こういったことは新人以外でも、ある程度の年齢やキャリアをもった人でも、新年度からの仕事の経験値が浅い場合は同じように該当します。さらには、子どもにも当てはまります。ですので、経験が少ない部下をもつ上司や、子どもをもつ親の方は、全員に関係する話となります。

今回はまずは新人の部下を事例にしたかたちを中心として話を進めますが、自分の部下や子どもにも当てはめて一読してくだされば、きっとお役に立つと思います。

ところで、なぜモチベーションの高かった新人が無気力になってしまうのでしょうか。前回ご紹介した「スキル」と「モチベーション」の観点からタイプを見極める『人材マトリックス』を思い出してみましょう。

※参考までに、前回の記事はこちら。
「どんなタイプの人も自信を付けさせる「2つのマトリックス」とは?【シリーズ1】」

縦軸が「スキル」で、上が高く下が低くなります。
横軸は「モチベーション」で、右側が高く左側が低くなります。

新人タイプは、Aエリアのやる気があるがまだ仕事は知らない状態です。何かの役に立ちたいと思っています。だから、自分の役割とその仕事の内容さえわかれば、何かの役に立つために自ら動き出します。

『やる気がある=仕事ができそう』と勘違いする上司が多発

ところが、このようなやる気のある部下に対して、よくやってしまう上司の間違いがあります。それは、「やる気がある=仕事ができる」と勘違いしてしまうことです。

「やる気がありそうだから、詳しく教えなくてもできるだろう」とか「若いとき自分も、教えてもらわなくてもやってきた」というように、やる気のある部下が勝手にできると思い込んでしまうのです。

この状態は、幼児が初めてペットボトルを見て、飲み物を飲もうとしても飲めない姿に似ています。親が「ペットボトルのジュースを飲んでいいよ」と言っても、幼児はジュースをどうやって飲んだらいいのか分かりません。部下に対して、こんなことをしているわけです。

放任主義は相手を自由にさせるのではなく、戸惑わせるだけ

こんなとき、その子が右利きであれば「ペットボトルを左手に持って」「そうそう、そうだよー」「今度は右手でペットボトルの上にある白いキャップをつかんで、左に回して」「ちょっと硬いかな」「そうそう、いいね!」「キャップが空いたら、その飲み口を口までもっていって」という具合に、一つひとつの動作を教えてあげる必要があります。

それも、親が目の前で見本を見せてあげながらです。この一連の動作を理解しない限り、幼児はジュースを飲めません。

新人の部下も、この幼児のようなものです。その結果、部下は仕事をしたいけど、仕事のやり方を知らないまま失敗してしまいます。

そこで、上司に「失敗する前に、なんで自分に聞いてくれないんだ?」「わからないことがあったら、遠慮なく質問してもらっていいのに」などと叱られたら、どんなに悲しいことか。

何かの役に立ちたいと思っていたのに、自分は役に立たない…。せっかくあった部下のモチベーションは一気に消え失せ、スキルもモチベーションもない無気力タイプになってしまいます。

これはご家庭でも同じこと。「そんな簡単なことくらい、一人でできるだろう」「他の子はできているんだから、うちの子も余裕でできるはずだ」と決めつけてほったらかしにし、できないことを責めてしまえば、お子さんはやる気がなくなってしまいます。

部下や子どもを優秀タイプにするか、無気力タイプにするか。それはあなた次第です

仕事をまだ理解していない新人タイプの部下や、まだやり方が分からないお子さんがやる気を失わず自信を付けるためには、仕事や勉強などのやり方を丁寧に教えてあげることが必要です。

ここは、無気力タイプになるか優秀タイプになるかの大事な境目。時間はかかるかもしれませんが、自信を失わせてしまうほうが後々面倒なことになってしまいます。ぜひ、相手の理解度を確認しながら、丁寧に教えてあげましょう。

ただ、上司のあなたが一人でやる必要はありません。新人タイプの部下がチームの誰かに相談できる体制を作るのも有効です。

お子さんであれば、お母さん一人で抱え込んでしまうのではなく、夫、年齢が上のきょうだいがいれば、みんなで協力体制をつくってください。チームや家庭全体で部下やお子さんを見守っていくことが一体感をつくり、自分一人で抱え込むことを防ぎます。

進捗確認をして、失敗は原因を究明し、できたことは認める

そして、「どう調子は?」と日々の進捗を確認をしてあげれば、分からないことを聞くこともでき失敗も少なくなります。

さらに、できていることを「できてるね!」と認めてあげると、嬉しくなって「自分はできる!」という自信が湧いてきます。

もし、部下の仕事が遅れていて成果に届きそうにない場合は、部下の話を聞きながら何が原因なのか突き止めます。例えば、情報が不足しているのならどの本なりどのサイトにあたって調べればいいのかを教えればいいし、人脈が必要な案件なら仲介役となる人を紹介してあげればいいのです。部下やお子さんには、必要な知識と行動を丁寧に教えてあげましょう。

この繰り返しで、部下は上司を、お子さんはお父さんお母さんを心から信頼して、モチベーションを維持したまま、自信をもってスキルのある優秀タイプへ変身していきます。

大切なことは、部下やお子さんの「何か役に立ちたい」「お父さんお母さんに良いところを見せたい」というやる気の灯火を消さないことです。

※参考文献:拙著『部下が変わる本当の叱り方』明日香出版社


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