
どんなタイプでも自信を付けさせる【Vol.4】仕事はできるがやる気がいまいちタイプ
[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]
やる気が途端になくなったことは、誰もがあること
今までに、やる気(モチベーション)がなくなってしまった経験はないでしょうか。例えば、一生懸命に頑張ってきたのに、ちょっとしたミスで「何やってるの? もうこの仕事は任せられないな」と叱られたら、落ち込んでしまいます。「自分は一生懸命にやっているのに、そんなこと言われるなんて…」と上司の理不尽な態度にやる気がなくなることもあるでしょう。
お子さんであれば、いつもいい成績をとっている子が、今回はたまたま点数が悪かっただけなのに、「しっかり勉強しなさい!!」なんて叱られたらショックです。「毎日、ちゃんと勉強しているよ。今回だけ調子が悪かっただけなのに、そんなこと言うなんて…」と口には出さないまでも、心の中でつぶやきやる気を失くしてしまいます。

モチベーションを失ってしまう二つの理由とは?
やる気のなくなってしまう一つ目の理由は、上司が部下に、あるいは先生や親が子供たちに、誤った叱り方をしてしまうことにあります。悪い結果だけに注目され、頑張っていることを認めてもらえないと感じると、やる気を失ってしまいます。
やる気のなくなった部下やお子さんは、もう自ら仕事や勉強をする気にはなりません。だから、言われたことだけをやる指示待ちタイプになってしまうのです。
二つ目の理由が、自分に自信をなくしてしまっていること。一つ目の理由に加え、自分自身でも失敗や悪い成績で「自分はやっぱりダメなのかな…」と自分を否定してしまっている時です。
自信を失った状態では、やる気どころではありません。放っておくと指示待ちタイプを通り越して、無気力タイプになってしまいます。
せっかく持っているスキルや学力を活かせないのは、本人にとってもチームにとってももったいない話。お子さんや部下のまだまだ広がる可能性を潰してしまっているようなものです。
やる気のない態度は不満や反発の表現
やる気がないように見えるのは、自分の頑張りや存在を認めてもらえてないと本人が感じているから。認めてもらえていないことに、不満や反発を感じています。その不満や反発をやる気のない態度で表現しているのです。あるいは、自信を無くしている私をわかってほしくて、そのようなそぶりをすることもあります。

ところが上司や親は、そんな気持ちが分からず、その態度に「その態度はどうなの?」と否定の言葉を投げかけるか「元気だしてこうぜ」「やる気出せよ!」と無理やり鼓舞しようとします。
すると部下や子供は、さらにその「やる気のない」態度をエスカレートさせて、逃げ出すか、全く動かなくなってしまう無気力タイプになってしまいます。
考えてみれば、部下のスキルが高いことやお子さんの学力があるのは、元々やる気があったからこその結果。やる気のない限り仕事も勉強もしないはずです。だから、以前のやる気があった状態に戻してあげることが先決。
心境を聞いてあげて、役割と目標を再設定するだけでOK
以前の状態に戻すのは、とっても簡単。部下やお子さんの本当の気持ちをわかってあげるだけでいいんです。本当の気持ちを分かってもらえた部下やお子さんは、不安から安心の状態に変わります。
不満があるのなら「どんな不満があるのかな?」と聞いて考えや気持ちを受け止めた上で、「どうなればいいのかな?」と一緒にこれからの改善策を考えてあげてください。
自信をなくしている部下やお子さんには「自信があればいいんだね!」と思考を未来に向けて、目標や役割を再設定して、できることからはじめさせてあげましょう。目標や役割はちょっとだけ背伸びをする程度にするのがコツ。「自分もできそう!」という自信が生まれてきますから。
お子さんになかなかそんな関わり方ができないという方には、「何でも言える親子会議」みたいな場をつくって話を聞いてあげると、お子さんは素直に自分の気持ちを話すことができます。親もお子さんの気持ちが理解できて、親子の絆がだんだんと強くなり、お子さんの無気力な態度もなくなっていきます。
スキルはあるがモチベーションが低い年上部下の場合
最近では、年上の部下を持つリーダーの方の悩みを多く聞きます。年上部下の彼らはスキルがあるが、モチベーションの低いタイプなのかもしれません。ただ、私も同じ経験をしましたが、彼らは言葉にしないまでも自分の活躍の場を求めています。
そんな彼らを邪魔者にするのではなく、あえて、「この仕事をしてほしい。部下の育成を手伝ってほしい」とお願いするように仕事を依頼すると、快く引き受けてくれるはずです。年上部下の彼らも自分が活躍できる役割があれば、自信を持ってリーダーのあなたの手助けをしてくれます。

昔の私も実はやる気をなくしていました
実は私も現場所長の時、部下の失踪や現場の大赤字という大失敗を経験しやる気をなくしました。責任を取るかたちで福島県の除染の現場に異動になった時は、やる気はどん底。赴任した当初は、「なんで俺がこんな仕事をしなくてはいけないんだ」とふてくされた態度でした。今では、そんな気持ちで赴任したことを大変申し訳なく思っていますが。
しかし、除染グループの責任者という役割を与えられ、地域の作業員さんと一緒になって一軒一軒、除染を完了していくうちに、役割を果たしている充実感や自分の存在意義を感じられるようになってきました。不思議なくらい、今まで以上に自分のスキルを発揮していくようになっていったのです。

私の上司から「吉田くんは、ここにいるべき人じゃない。全社の中枢にいて会社を引っ張っていく人だ!」と言われたとき涙が止まりませんでした。「見ている人は見ているな」と、とても救われた気持ちになったことを覚えています。
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最後に、今回のポイントをおさらい。やる気のないことを責めたり、無理やりやる気を出せと鼓舞したりすることでありません。
まず、やる気のない状態を受け止め、原因を丁寧に聞いていくことです。元々あったやる気にブレーキをかけている上司や親の否定、未承認をなくし、できる役割と目標を再設定してあげましょう。
そして、動き出した部下やお子さんを上司や親は、「いいね!」「できてるね」と応援してあげればいいだけです。
※参考文献:拙著『部下が変わる本当の叱り方』明日香出版社

人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
吉田裕児さんの紹介ページは→こちら
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