
どんなタイプでも自信を付けさせる【Vol.8】分析好きで完璧主義の理論派タイプ
[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]
親しみを込めて話しかけたのに、嫌な顔をされるのはなぜか?
こんな経験はないでしょうか。親しみを込めて個人的な話題を持ちかけたつもりでも、相手が思ったように話に乗ってこなかったり、嫌な顔をされたりしたこと。なんで、親しみを込めて話しているのに、嫌な顔されるのかなと不思議に思ってしまいます。
これは、連載中の行動傾向による人のタイプを知らないから起きるコミュニケーションミスです。
そんな偉そうなことを言っている私も、実はコミュニケーションミスの連続でした。私の行動傾向によるタイプは、感情豊かで主張する社交派タイプです。だから、社交派タイプがされると気持ちのよいコミュニケーションを取りがち。
しかし、次の図にあるCエリアの理論派タイプには、そのコミュニケーションは煩(わずら)わしく感じます。

今回は、いつも冷静で控えめな理論派タイプにどうコミュニケーションを取り自信を付けていくのかお伝えしましょう。
控えめでいつも冷静だけど、最後は決める人
このCエリアにいるタイプは、嵐のメンバーだと大野くん、野球でいえば野村克也監督、戦国武将なら黒田官兵衛になります。このタイプに共通するのは控えめでいつも冷静だけど、最後は決めるところで決めることです。
例えば、大野くんが出演していた『VS嵐』のプロデューサーがこんなふうにコメントしています。「大野くんは一見何も考えていないように見えますが、番組の最後にコメントを振られたときは、リーダーとしての一言で笑いをとって決めています。実は、聞いていないようで人の会話をよく聞いていて、最後に振られてもいいように細かく分析しているんですね」と。
さらに、ボーっとしているようでもジャニーズ随一のダンスの名手だったり、歌もジャニーズの中で一番に選ばれたり、役者としても役になりきって演技するなど多才で完璧。これも、大野くんが各分野をよく研究し練習している証拠だと考えます。
野球でいえば2020年2月にお亡くなりになった野村克也監督。ID野球の基礎を築き、野村マジックを繰り広げ5度のリーグ優勝を果たしています。ID(Import Date)とは、経験や勘に頼ることなく、データを駆使して科学的に進める手段です。

著書『頭を使え、心を燃やせ』(プレジデント社)の中で、次のように語られています。「とりたてて野球の才能があったわけではない。私以上の天性をもった選手はほかにいくらでもいた。にもかかわらず、私が半世紀以上も野球の現場にいられたのはなぜか。
徹底的に頭を使い、知恵をふりしぼったからだ。どんな困難があろうと、高い壁にぶちあたろうと、決してあきらめずにその都度徹底的に考え抜き、試行錯誤したからである」
この言葉からも何事も調査を行い分析して、最も適切な解答を完璧なように実践していく理論派を感じさせられます。
戦国武将でいえば、天才軍師の黒田官兵衛です。奇しくも天下はとれなかった黒田官兵衛ですが、戦略家として名をはせており「負けない戦」をモットーにしていました。
黒田官兵衛に、いきなり結論を提案しても、受付けてくれません。なぜその結論に至ったのか、プロセスを論理的に説明しないと信用してくれないのです。それほど黒田官兵衛は、論理(プロセス)を重視していたわけです。
よく調べて分析していることを、褒めてあげるのがポイント
彼ら3人を見てもわかるように、理論派タイプは周りをよく観察して事実を把握しながら、目的を達成するための行動を取っていきます。
その一方でリスクに関して慎重なので、「これは絶対大丈夫だから」などと感情的によいことばかりを伝えても、信じることはありません。「このデータは、〇〇の研究結果から調べたものだ」などと冷静に事実を伝えることによって、改善策を考えていきます。

ですから、このような理論派タイプの部下がよいプレゼンをしたときは、「君のプレゼンはエビデンスに基づいて論理的だ。おまけに言いたいこともはっきりしている。企画も斬新だ」と褒めてあげると自信が付いていきます。
もし、よい出来ではなかったときは、「ちょっと確認のためにアドバスしたいんだけど」と前置きをして、「ここの調査によるとこういう事実もあるよ」と資料を用意してアドバスしてあげると、ちゃんと話を聞いてくれて自分で考え出します。
お子さんの場合は、「〇〇ちゃんは、よく調べているね! きちんとやっているね」というように観察力や正確性を褒めてあげると、自信が付いていきます。
もし、注意が必要なときは「ちゃんと調べている〇〇ちゃんが好きだよー」とか「もっと丁寧にやっている〇〇ちゃんが好きだよー」と言ってあげると、お子さんは自分の観察力や丁寧さに気づくことができます。
もし、大野くんがミスをしたら?
もし大野くんがあなたの部下でミスしたとき、どんな叱り方をして自信を付けさせればいいでしょうか。大野くんがプレゼン用資料の作成で、期限を守れなかったとします。
この場合はまず「大野くん、今時間あるかな?」と別室へ呼びます。「間に合わなかったようだけど、まず君の考えを聞かせてくれないか?」とプロセスを確認します。
すると大野くんは、「私の考えでは…」と、自分なりに分析した事実に基づいたプロセスを説明し出します。
そこで上司としては、「そうか、そういうプロセスだったのか」としっかり受け止めて、そのプロセスに対して具体的に何が不足しているのか、どう変えていく必要があるのかという改善点を明確にします。
理論派は対面を気にするので、間違ったことをあからさまに指摘されるのを嫌がります。「ちょっと確認のために指摘したいんだが」と前置きをして、上司のあなたはアドバイスをしてください。
叱る時間についても、几帳面な性格なので長々と叱らず10分なら10分できっぱりとやめます。そして「あとは大野くんが考えて」と自分で考える時間をとってあげれば、自分で改善点を考え出してくれます。

もし、大野くんのような理論派タイプの部下がいたら、彼に自信を付けるために上司がすべきことは、正確な情報と十分に考えられる時間を与えることです。
次回は、現実派タイプ。ニノ、落合博満監督、織田信長です。お楽しみに!
※参考文献:拙著『部下が変わる本当の叱り方』明日香出版社

人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
吉田裕児さんの紹介ページは→こちら
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