どんなタイプでも自信を付けさせる【Vol.10】まず知るべき人物は、実は自分

[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]

自信の付け方は、コスプレーヤーが教えてくれる

ディズニーでハロウィンが賑わっているとき、思い思いのコスチュームを身に付けた可愛いお化け達が笑顔で本当に楽しそうです。観ている方も楽しくなってしまいます。ありのままを表現して「私、可愛いでしょ!」と誇らしげにしている彼女たちもきっと、自分のことを好きになっていることでしょう。

この連載でお伝えしている「自信とは、自分で自分のことを認められ、自分のことを好きになれること」をまさに実践しているのです。

「こうでなければならない」と思い込んでいる世界から抜け出せると、人は素直になれ、なりたい自分に気がつくことができます。そして、なりたい自分になろうと自ら動き出します。このようになりたい自分になろうとする気持ちが、自信を付けるために必要です。

相手を正しく知れば、相手はプレッシャーから解放される

本連載ではこれまで9回に渡り、人間には8つのタイプがあることを紹介してきました。「人材マトリックス」という切り口では4タイプのどこかに当てはまり、「行動傾向マトリックス」という基準を設ければ4タイプのいずれかに該当する、というお話です。

上司が部下の、親がお子さんのタイプをわかってあげることが大事で、その上で上司は部下を、親はお子さんの自信をつけさせるのが有効だということもご説明してきました。

なぜそんなことを私が推奨したのかというと、相手を正しく観察できるからです。自信をつけさせるのには、それぞれのタイプに合う方法があります(これまでの連載でお伝えしてきたことですが、復習の意味も込めて再度簡単に振り返っています)。

この工程を踏まないと、相手のごく一部しか観察できないだけでなく、相手のことを極めて偏った判断で決めつけてしまうことも多いのです。さらには間違った判断をしてしまうことも往々にしてあります。

「この部下は、こういう奴だ」「うちの次男は、こんな子だ」などと決め付けて、偏見ないし間違った判断をしてしまうと、部下やお子さんにとってプレッシャーになってしまいます。上司や親の思い通りにならないといけないと自分を縛り付けるからです。これでは、部下やお子さんは渋々言われた通りのことをやるだけ。自信を付けるどころではありません。

でも、上司が部下の、親がお子さんのタイプを分かってあげるだけで、部下やお子さんはプレッシャーから解放されます。なぜなら、自分のことを分かろうとしてくれている上司や親の関心が、部下やお子さんを安心させるからです。プレッシャーという抑圧がなくなれば、「自分をさらけ出していいんだ!」と勇気が湧いてきます。これが自信の源です。

まずは自分を知ることが実は大事

では、決め付けという過ちを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。まず、これまでご紹介してきた「人材マトリックス」と「行動傾向マトリックス」の2つのマトリックを使って、自分のタイプを見極めてみましょう。

自分のタイプを見極められると、物事を冷静に観察できる目を持つことができます。その目を持つことで、部下やお子さんを正しく観てあげることが実現するのです。まずは「人材マトリックス」から自分がどのタイプなのかを調べてみましょう。

例えば、自分が「モチベーションが高く仕事ができるスキルを持っている【優秀タイプ】」だったとしましょう。すると部下がスキルが高くても怒ってしまうということが起きてしまう可能性に気づくでしょう。というのは、その部下がモチベーションが低いということもあるから。そこが自分と合わないため、部下がスキルが高くてそれなりに成果を出していても、「勤務態度が気に食わん」などと思ってしまうこともあり得るわけです。

次に「行動傾向マトリックス」でも自分診断をしてみます。

もし、あなたが【社交派タイプ】であるなら、「A君のプレゼンを聞いてると、イライラすることが多いけど、A君が俺とはだいぶ違う【理論派タイプ】だったからなんだな。「面白い」とか「困る人が多い」とかさっさと言ってほしいのに。A君は順序立って丁寧に説明してくれてるのかもしれないけど、長々と聞いてると回りくどい感じにも思えてくるな…」と自分の感情に納得できます(それぞれの状態やタイプへの対処方法は、私の今までの記事をご覧ください)。

今まで無意識に相手に、自分の怒りなどのプレッシャーを掛けていたことにも気づくことができます。自分を知ることで、相手の状態や行動傾向を知ることもできるのです。

お互いをもっと知る3つの秘訣とは?

ただ、上司や親であっても、部下やお子さんとはそれぞれ違う個性の持ち主。衝突や対立は必ず起きます。それは誰が悪いという話でもありません。単に、まだお互いを知らないがゆえに起きる現象なのです。

ここでも感情的にならずに、お互いを知るためのアプローチを、上司だったり親だったりするあなたからしてみましょう。アプローチの秘訣は3つあります。

1つ目の秘訣は、普段のコミュニケーションにあります。毒舌かもしれませんが、裏表がなく包容力があるため、相手の魅力を引き出すのが上手なマツコ・デラックスになりきって、下記の8つのポイントを実践してください(詳しくは、これから連載をスタートする「部下、スタッフ、お子さんの自立を促す伝え方(仮)」でお伝えします)。

普段話もしない人からいきなり「あなたのことをもっと知りたいから、教えてよ!」と言われても、不安で話せません。ですから、普段のやりとりの中で、下の図にあることを心掛けましょう。相手との信頼関係が強化されてきて、いざ込み入った話をしようとした際にも、相手は心を開きやすくなります。

2つ目の秘訣は、自己開示すること。こちらが心を開いて自分のことを話せば、相手もその分自分のことを話してくれます。

自分の子供の頃の話や家族の話など話してみると、相手は、「この人も同じ人間なんだ。結構苦労しているんだなと」と親近感を覚え、安心して話し出します。お子さんにも自分の子供の頃の話をすると、案外関心を持って聞いてくれます。

3つ目の秘訣は「二人だけの秘密」にすること。この人に話したら、皆に広まってしまうという不安を持っていると相手は話してくれません。たとえ上司であろうと、親であろうと、ここだけの話、二人の秘密だと分かれば安心できます。二人だけの秘密という共通を持つことができれば、絆も生まれます。すると、話しやすくなるのです。

この3つのアプローチでお互いを知り合えば、部下やお子さんはプレッシャーを感じにくくなっていきます。

ポイントは、決め付けないこと。決め付けると相手に関心が無くなってしまいます。人は関心を持ってくれる人に関心を持ちます。だから関心を持ち続ければ、上司のあなた、親のあなたからの自信を付けるメッセージは伝わります。

今回の記事で、上司のあなた、親のあなたが、部下やお子さんに自信を付けられるよき理解者となられることを心より願っております。

次回は、「部下、スタッフ、お子さんの自立を促す伝え方」をお伝えします。お楽しみに!

※参考文献:拙著『部下が変わる本当の叱り方』明日香出版社


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