部下や子供の自立を促す伝え方 簡単にできる!自立を阻む危機意識を排除する方法

[ 今度こそうまくいく!自信を無理なくつける方法 ]

なぜ「いけないこと」とわかっていながら、感情的になってしまうのか?

こんな経験はないでしょうか。お子さんが言うことを聞かないとき、「怒ってはいけない」「怒ればやる気をなくさせてしまう」と分かっていても、つい感情的になって怒ってしまうこと。
「あぁ、なんてダメな親なんだろう…」と後悔してしまうこともあるかもしれません。

でも、ご安心ください。感情的になってしまうのは、人間が本来持っている脳の仕組みだから。

今回は、人間の脳の仕組みを理解して、部下やスタッフ、お子さんが自立していくための効果的な伝え方を紹介していきます。

結論から言いますと、脳は「思考」より「感情」を優先します。だから、「怒ればやる気をなくす。だから、怒らないほうがよい」という思考より、言うことを聞かないお子さんに瞬時に感じる悲しみや、恐れに反応して怒ってしまうわけです。

そして最後に「怒らなければよかったのに…」と考えるのは、感情で反応した行動に対し、思考が時間が経ってから「いけなかったな」と後悔しているわけです。

「思考」は「感情」のしもべという事実

なぜ、理性的に反応できないのか。それは仮説の部分もありますが、人間の脳の構造によるものです(イラストをご覧ください)。

遥か遠い昔、人類が生まれる前、爬虫類には爬虫類脳と呼ばれる「①脳幹」しかありませんでした。この脳は生命維持を司り、呼吸や心拍を制御します。

次に感情を司る「②大脳辺縁系(哺乳類脳)」が形成されました。この大脳辺縁系によって、すべての哺乳類が同じ種同士で関係を築くようになり、子供の世話をし合う仲間意識や外敵から身を守る危機意識(防衛本能)が備わっていったようです。

実はこの危機意識(防衛本能)が、現代の人間の社会においては曲者になってしまうのです。

次におおよそ100万年前、初期の人類を含む哺乳類の脳に「③大脳新皮質」が新たに加わります。私たちのご先祖様であるホモサピエンスが登場した約20万年前では、ホモサピエンスの大脳新皮質は、他のどの陸上生物よりも何倍も大きかったそうです。

大脳新皮質は、人間の思考を司り、考えを整理します。自立するために重要な脳の機能となるのです。

このように脳は三層構造となっているわけです。「感情」を司る大脳辺縁系は、約一億年前から存在します。それに対し、「思考」を司る大脳新皮質は100万年前に誕生したため、はるかに若輩者なのです。

つまり、「感情」が大先輩であるため、若輩者の「思考」より偉くて先に動き出します。
例えば、「自分の子供が、勉強できないダメな子になってしまう」と危機を感じた場合、大先輩の大脳辺縁系が反応して、その危機を避けようとして怒ってしまうのです。
後から若輩の大脳新皮質が、感情的になってしまったと後悔します(感情的にならない伝え方は、次回以降にお伝えしますね)。

部下や子供が反抗したりふてくされるのは自然な現象

ましてや、上司や店長、親が失敗を責めるような叱り方をしたら、部下やスタッフ、お子さんは「感情」を司る大脳辺縁系が大爆発して、利用可能なエネルギーを戦うためや逃げるために使い出します。

その結果「上司や店長、パパママの言うことはおかしい。言われた通りにやっているのだから、悪いのはそっちでしょ?」と、部下や子供は戦闘モードになります。
もしくは、言われたことを受け流し無反応状態で指示されたことだけをやるようになります。
これでは、部下や子供が自立する望みは完璧になくなってしまいます。

解決策は意外に簡単。毎日の声掛けとつぶやきで十分

でも、大丈夫です。そうならない方法があります。その方法は、とてもシンプル、普段の声掛けと自分のちょっとしたつぶやきです。

部下やスタッフには、朝「おはよう! 調子はどう?」と挨拶をして「何かあったらいつでも相談していいよ」というウエルカムの姿勢を見せてください。
何もなければ「今日は、どんなことをやってみる?」となりたい自分を思いださせて「そうか、いいねー。今日もよろしく!」と気持ちよく一日をスタートさせましょう。

そうすれば、失敗したらどうしようという危険を感じないので、大先輩の大脳辺縁系は若輩者の大脳新皮質にその場を譲ります。だから、大脳新皮質は自立のための行動を考え実践していきます。

もう一つ有効なことは、上司や店長のささいなつぶやき。
例えば、「最近太ったから、大好きなラーメン食べられないよ。寂しいー」とか「昨日のお客さんワガママだったな。頭にくるよね!」と、ちょっとした出来事をつぶやいてみてください。
上司も店長も普通の人間なんだな、と親近感を覚えます。その親近感で、「上司や店長は、自分を襲ってこない」という安心感を大脳辺縁系に与えます。

仕事中は「どう? 調子は」と声掛けして見守ってあげてください。よかったところは「さっきの対応いいよー」と褒めて、上手くいっていないところは「こうするともっとよくなるよ」とアドバイスしてあげましょう。部下やスタッフは安心して自立のための行動を続けます。

夕方は「今日もおつかれさまー」と一日を労い「今日はどうだったかな? 何か困ったことはある? 応援できることがあったら言ってね!」と相談できるようにしてあげましょう。
最後に「明日も頼むね!」と期待を伝えてあげると、大脳新皮質がさらに働き出し、部下やスタッフの自立は加速します。

お子さんも同じです。パパとママの「おはよう」「いってらっしゃい!」の笑顔の挨拶や「パパもママもこんなことがあったの」というつぶやきが有効です。
寝る前に「〇〇ちゃん、今日も元気でよかった。明日もね!」と、スキンシップができるうちは抱きしめてあげてください。
お子さんの大脳辺縁系は穏やかになり、自立のための大脳新皮質が目覚めます。

次回は、自分の感情をコントロールしつつ部下やスタッフ、お子さんの自立を促す効果的な伝え方についてです。お楽しみ!

※参考文献:参考図書:『決定版コーチング 良いコーチになるための実践テキスト』(ジェニー・ロジャース著/JMAM)


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