
栗山監督から学ぶ人の育て方「加点主義でやる気をアップ!」
[ 人生100年時代、今日からできる!後悔しない生き方 ]
二刀流は加点主義から生まれた
日本中を歓喜の渦に巻き込んだWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)で大活躍した大谷翔平選手。実はプロとして入団したとき多くの人から「投手をやるのかバッターをやるのか決めないと、どっちも花咲かない」と二刀流を反対されたことをご存じだろうか。
しかし、当時北海道日本ハムの栗山英樹監督は、大谷選手の投打での資質を見抜き、周囲の批判を受けながらも二刀流で大谷選手を育て上げメジャーリーグへ送り出したのだ。これは、栗山監督が大谷選手の失敗を心配する減点主義ではなく、元々もっている資質や可能性を認める加点主義だったからできたこと。

「がんばり」を認められることがやる気の源泉
これを私たちの職場や家庭に当てはめてみるとどうなるだろうか。
多くの上司は、頼んだ仕事が自分の思った通りにできていないと「何でできていないんだ?」と部下を責めてしまう。
親であれば他の子どもと比べて「こんなことできなくてママは恥ずかしい」と、できていないところばかりを見てお子さんを責めてしまう。
これが減点主義。私もある時まで同じことをやっていたので大いに反省している。

これでは一生懸命やってきた「がんばり(努力ややる気)」を認められず、部下は悲しくなってしまうだけ。
子供だって、親が自分の「がんばり」に気づいてくれなければ、嫌われたのかと思って寂しくなってしまうだろう。
一方、「ここまでできたね! おつかれさま」と、できたところや努力を認めてもらえれば部下は嬉しくなる。
「〇〇ちゃん、一生懸命にがんばったね!」と他の子と比べることなく褒めてもらえれば、親の愛情を感じることができる。だから、次に向かうやる気が湧いてくるのだ。
上司や親には気づきにくいかもしれない。でも、その「がんばり」に気づいてあげれば、部下も子供も前に進むことができるのだ。
赤ちゃんに接していたことを同じようにすればいいだけ
赤ちゃんを思い浮かべてみよう。笑ったり、寝返りをうったり、ちょっとした成長でも「できた~」「すごいね!」と、手放しで喜んでいるのではないかな。そこには減点主義はないはずだ。

あるのはひたむきに成長しようとする赤ちゃんの挑戦を、素直に喜ぶ私たち大人の愛情。だから赤ちゃんは、すくすくと成長していく。部下やお子さんも赤ちゃんに接するのと同じように、できていることを認めてもらえば、本人たちは自らできていないことに挑戦し出すものなのだ。
「30%至らない」は「70%もできている」と同じ
話しは変わるが、私が仕事をしていた建設業では建物の完成前には設計図通りにできているか、お客様が検査を行う。その準備のため1週間前に、部下へ頼んだ検査書類の進捗確認を行った。この時点で100%の出来上がりを期待していたが、まだ70%の出来上がりだった。
「なんであと30%ができないんだ!」と喉まで出かかった。でも、私は「70%までできたんだ。お疲れ様」と労いの言葉を掛けることができた。
この言葉を掛けることができたのは、大切なことは検査合格することであり、それを部下が成し遂げることだと思い出すことができたから。
さらに言えば、大切なのは部下のやる気を奪うことではなかった。この時、私も少し成長できたのかもしれない(笑)。
彼も任された仕事が100%できていないことを自覚していた。だから、私の一言で残りの30%を終わらせるために自分の持てる力を発揮し、検査は無事合格することができたのだ。

世の中は減点主義かもしれない。でも、あなたの職場や家庭だけでも、相手のできているところを認める「加点主義」にして欲しい。そうすれば、飛び抜けた成果を出したり、幸せな家庭を手に入れたりにつながることも多いだろう。
加点主義で大事なことは、相手のありのままを受け止めてあげること。あなたにとって良いところだけでなく、悪いところでも受け止めることだ。
悪いところは「伸びしろだね」と受け止めてあげれば、きっと部下もお子さんも成長していくはずだ。
むしろ、悪いと思うところは、上司や親が勝手に「悪い」と決めつけているのかもしれない。長い人生、裏を返せば良いことだったりする。これは大切なことなので別の回でお伝えしよう。
自分を加点主義でいたわる!
最後に、一番大切なことをお伝えする。それは、「加点主義」を部下やお子さんだけでなく、自分にも使って欲しいということ。がんばっている自分を認めて「おつかれさま。がんばっているね!」と労いの言葉を自分に掛けてあげれば元気になってくる。
栗山監督もきっと自分に「加点主義」だったのだと思う。自分の指導術を「加点方式」で評価していたからこそ、自信をもって選手を育成出来、結果として大谷選手も偉大な成績を残せたのに違いない。
自分のできないことを責めている減点主義では、部下やお子さんに対して加点主義になることはできない。
できないところは「伸びしろ」だと受け止めて、自分を信じてあげよう。上司や親のあなたが自分にできてこそ、部下やお子さんにもできるようになる。最初は恥ずかしくてできないかもしれない。そこそこがんばっている自分で大丈夫。「今日もそこそこがんばったね!」と少しずつ自分を「加点主義」で労わってあげよう。
今や、人生は100年続く。減点主義では疲れ果ててしまう。
加点主義で楽しく生きていこうじゃないか!


人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
吉田裕児さんの紹介ページは→こちら
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