
可愛がられる秘訣 ~「すぐに聞く」「相手の興味“の理由”」に関心を持つ
[ 人生100年時代、今日からできる!後悔しない生き方 ]
伊藤博文はなぜ吉田松陰に可愛がられたのか
人は結局最後に誰かのお世話になる。しかし、お世話になるとき『嫌な人』と思われていたらどうなってしまうだろうか。
世話も義務的なものになり、笑顔も何もない冷たいものになるだろう。それではただ生存しているだけの辛い人生になってしまう。喜びや感謝のない人生に…。
そうならない生き方がしたいなら、『可愛がられる人』になるための心構えや習慣が必要だ。前回に続き、今回もこのテーマでお届けする。
2回目となる今回は、「教えてください」という謙虚さと、相手に関心を持つ大切さをお伝えしよう。

突然だが、初代の総理大臣であり、昔の千円札の顔にもなった伊藤博文(いとうひろぶみ)をご存知だろうか。幕末、長州藩(山口県の一部)で吉田松陰の私塾である松下村塾(しょうかそんじゅく)で学んでいた。
そのころ松陰は、伊藤博文のことを「才劣り、学幼し。しかし、性質は素直で華美になびかず、僕すこぶる之を愛す」と評していた。一見、できないように思えるけれど性格はいい奴だと捉えていたのだ。松陰が、伊藤博文のことを可愛がっていたことが窺(うかが)える。
なぜ、高杉晋作などヒーローの仲間たちが多数いたのにも関わらず、伊藤博文は松陰に可愛がられたのか。それは自分が未熟であることを素直に認め、わからないことを「教えてください!」という謙虚さがあったからに違いない。
もしあの時、「教えて」の一言が言えたなら

今、可愛がられる人になるために特訓中の私はどうだったかと言えば、話すのが恥ずかしくなる。「そんなの知っているよ。わかっているよ!」の態度を丸出しにしていた。
本当に知っていればいいし、わかっていればよかったのだが、そうではなく、自分のプライドを守るために見栄を張って、相手よりも自分のほうが優位だと見せつけるようにしていたのだ。
だから上司とは上手くいかず、可愛がられない嫌な奴を演じていたわけだ。タイムマシーンがあればその時に戻ってやり直したいと思っている。
誰だって「教えて!」と言ってくる人を蔑(ないがし)ろにはしないだろう。むしろ可愛く思うはずだ。
読者のみなさんは大丈夫だと思うが、わからないことがあったら見栄を張らずに素直に「教えて!」と言って欲しい。そうすれば、パートナーも上司も同僚も心温かくあなたを迎えてくれるだろう。それが『可愛がられる人』になる秘訣の一つだ。
しかも、自分一人だと手間が膨大にかかることも、一瞬で知ることができる場合も多い。まさに、いいこと尽くめだ。
わかっているつもりの思い込みも嫌われる

もう一つ忘れてはならないことがある。それは、教えてもらって、わかったつもりになる思い込みだ。
思い込みで決め付けられた相手は、どんな気持ちになるだろうか。言葉に出さなくても、思い込みのエネルギーは相手に伝わる。本当の自分を理解されていないわけだから、人格否定をされているようで悲しくなる。
さらに悪いことは、思い込みで物事を判断しているとやがて無関心になるということ。もうわかっているという思い込みから、関心は絶対に生まれない。
無関心は、相手の存在さえも無くしてしてしまう最強兵器だ。「愛の反対は無関心」とマザー・テレサも言っている。
人は「自分に関心を持ってくれる人」に関心を持つ
わかっているつもりという思い込みは手放して欲しい。気に掛けてもらっているという誰かからの関心は、心温まるものだ。
だから、その人に関心を持てるようになる。上司であれ親であれ、部下も子供も気に掛けてくれる人がいると安心できる。上司や親に愛着や親しみを感じているのだ。人と人との関係には、相手に関心を持つことが大切だということだ。

そこで、その思い込みを手放すための秘訣をお伝えしょう。最近WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が話題になったので野球の話をしてみたい。
例えば、あなたが準決勝の対メキシコ戦で逆転打を放った村上選手がいるヤクルトファンで、相手が阪神ファンだとすると、どんな会話になるだろうか。
多くの人が優勝できない阪神を否定するか、話の続きをしなくなってしまうのではないだろうか。「あの人は阪神ファン、私とは話が合わない」と。それではお互いが可愛くない人になってしまう。
「相手の興味“の理由”」に興味を持てば関心を持ち続けられる
では、ここで何をすればよいか。それは、「なぜ、阪神が好きなの?」と阪神を好きな理由を聞いてみることだ。
例えば、「現役時代から岡田監督のファンだから」「プロ野球史上2人目の新人から2年連続盗塁王の近本選手に注目している」「親が兵庫県出身だから」「ユニフォームがカッコいい」「近所に優勝セールをするお店が多いから」など、いろんな理由が出てくるだろう。
ヤクルトファンのあなたでも、その理由には興味を持てるだろう。その人の内面まで見えてきて、愛着を感じるのではないかな。
そこへの興味は尽きないはず。「相手の興味」に興味を持てなくても、「相手の興味“の理由”」には興味を持てるはずだ。そんなふうに興味を絶やさずにいると、可愛がられる人になっていく。
いつもの最後になるが、心構えや習慣はすぐに身につくものではない。だから、見栄を張るプライドを手放し、相手への関心を絶やさない言葉や行動を心がけて欲しい。そうすれば必ず可愛がられる人になっていく。人生100年を楽しめるはずだ。


人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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