「言い訳」はもちろん「強がること」が、周囲を全員敵にしてしまう理由

[ 人生100年時代、今日からできる!後悔しない生き方 ]

ツアー旅行で人生の“反面”教師に出会ってしまう

新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、規制がだいぶ緩和された頃、4年ぶりに海外旅行に行ってきた。3年前、コロナ禍の影響でキャンセルしたスロベニア・クロアチアなどバルカン半島5カ国を周遊する旅だ。

いろいろパプニングの多い旅行だったので詳しくお伝えしたいところだが、それは後日お伝えするとして、これまでしてきた旅行で、3回に渡ってお伝えした『可愛がられる人』になることが大切だということを実際に目の当たりにした経験があるので、今回はその報告をしたい。

それは、参加者の1人である長老の男性がもたらした災いだった…。

言い訳その1「いつもはこんなことないんだが」


乗り継ぎのために立ち寄った空港で、手荷物検査が終わり次に乗る飛行機の搭乗ゲートに移動中、パスポートと搭乗券の確認を行った。そのとき、その長老が、一人であちこち探している。

添乗員が「どうしました?」と声を掛けると「搭乗券がない!」と。落としたのではないかと添乗員が係の人に聞くが落し物はないと。

あちこち探したがない! みんなが心配しているなか「いつもはこんなことないんだが」と言い訳ばかり。結局は胸の内ポケットに入っていた。

そのとき、「ごめんなさい。ご迷惑をおかけしました」の一言があれば、メンバーも納得するのだが、それもない。ちょっと頑固な爺さんだなと思い始める。

言い訳その2「みんながいなくて困った」


この爺さん、次もまた事件を起こしてしまう。待ち合わせ場所にいないのだ。
添乗員が探しに行って見つけてくれたが、最初の一言が「みんながいなくて困ったよ」。
「おいおい、何言ってんだ?」と、メンバー全員であきれ返る。

目的地についてからも、「そんなの聞いていない。あんたの旅行会社はサービス悪い。俺は一人がいいから。一人でできるから」などなど、言い訳ばかりでずっと強がる。

しまいには「俺は使いきれない程の金を持っているんだ」と言い張る始末(それならこんなツアーでなく個人旅行で行けよ!と思うぐらいになっていく)。

最初は歳を聞いて親切にしてあげようと思っていた気持ちが、「このジジイ、いい加減にしろよ」の気持ちに変わっていく。人の悪口は言いたくないが、嫌われるパターンとして覚えておいてほしい。

爺さん一人で旅を楽しんでいるからいいじゃないかという意見もあると思うが、もし倒れたら誰がお世話をするのか。そして、人生最後は誰かのお世話になる時が来る。
そんな時、お世話する方もお世話される方も嫌な思いをすることが、人生で最大の不幸だと私は思っている。人生は終わりが肝心なのだ。

風邪を引いてしまった私はどうしたか?


一方、私は例年にない雨ばかりの天候やホテルのシャワーが熱いお湯にならなったことが原因で、風邪を引いてしまった。そのことを添乗員さんやメンバーに伝えてお詫びしたところ「ご体調はいかがですか。大丈夫ですか?」と皆が気遣ってくれるではないか。

添乗員さんからは、プロポリス(ミツバチが作る巣の補強材だが「天然の抗生物質」と呼ばれ、炎症や雑菌侵入を防ぎ、免疫力が上がるとされている)が入った喉スプレーまでいただいてしまった。爺さんとの違いをまざまざと味わった。

妻もなるべく私の負担にならないように、荷物の整理などやってくれた。おかげさまで何とか旅を続けることができたのだ。なんて優しい妻なんだと感謝しかない(のろけで申し訳ない)。

お詫びしてなるべく迷惑をかけないように気を付けていたのだが、「そんな私は人間ができてる。褒めてくれ」なんて言うつもりは毛頭ない。常識ある人間なら、いたって普通の行動をしただけだから。

言い訳の背景にあった問題点は何だったか

最初からすべてを甘えることは相手に嫌がられるが、「ここができません。ここが弱いです」と自分の弱みを打ち明けることで相手は優しくなれる。その上で、この人はこの人なりにがんばっているなと思えれば応援したくなる。

だから、困ったときに「助けて!」とひとこと言えば、よっぽどのことがない限り周りは助けてくれる。
一方でこの困った爺さんのように、言い訳ばかりで強がっていては、誰も助けたくなくなってしまう。

自分はそんな軟(やわ)な人間じゃないと強がるより、「ここが弱いです」と正直に認めて相手に伝えれば、相手も優しくなるし自分も変な見栄を張らずに済む。これは普段の生活でも結構あることなので参考にして欲しい。人生を幸せに生きる一つのコツだ。

「強がる」より「弱さを認める」ことが大事

強さは一見、無敵に思えるが、その正体は極めて脆(もろ)いものだ。
それなのに、見栄を張っている人は、この爺さん以外でもよく遭遇する。そんな人は、誰も応援したくなくなる。

今の時代、強がるより弱さを知り、お互いにその弱さを補完し合う時代。そんな生き方こそが、人生100年時代の後悔しない生き方だと思う。これはすぐにできることではないので、今から意識して習慣化して欲しい。

最後に、人は弱さには寛大だが、強がりには怒りを覚えることを知っておいて欲しい。

ちなみに、あまり皆が無視をし出したのでちょっと可哀そうに思い、「どんなお仕事をされていたのですか?」と聞いてみると、嬉しそうに語り始めた。超真面目な昭和時代ど真ん中のエンジニアだったらしい。きっとこの人は寂しいんだなと感じた。


人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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