
何かのせいにしたら「ゲーム・オーバー」。「想定外」を楽しみに変える意外な方法
[ 人生100年時代、今日からできる!後悔しない生き方 ]
想定外は当たり前。それをゲーム感覚で乗り切れ
前回お伝えした4年ぶりの海外旅行について、もう少し詳しくお伝えしたい。
実は結婚40周年のお祝いをするつもりだった。そんな軽い気持ちで40年前のヨーロッパ(ギリシャ、イタリア、フランス、イギリス10日間)ハネムーンをイメージしながら、今回のスロベニア・クロアチアなどバルカン半島5ケ国の旅へ出かけた。
後悔はしていないが、気力・体力・愛情の全部が試される旅となった。
最初に伝えたいことは、想定外の嫌なことが起きたとき何かのせいにした途端、楽しみはなくなるということ。そもそも小さいことを含めれば、海外旅行では想定外はほぼ100%起きるのが、これまでの経験で分かったことである。
逆に想定外のことを受け入れ、自分のできることをするのが旅を楽しむ秘訣だ。ゲームをクリアする、クイズを出題されて答える、そんな感覚が持てるといい。
「トラ“ブ”ル」こそ「トラ“ベ”ル」とすら、私は考えている。トラブルは絶対に嫌だという読者はこの記事を読むのをやめてしまうかもしれないが、旅を楽しむ秘訣は、人生を楽しむ秘訣にもつながるので、あまり旅をしない方も、最後まで読まないと絶対に損をすることになる(笑)。
『紅の豚』の舞台となった青空がウリの街は、まさかの雨…

今回訪れたクロアチアの最も有名な場所の一つ、ドゥブロヴニクという街。世界遺産に指定されており、宮崎駿監督の映画『紅の豚』の舞台にもなったことで日本でも有名になっている。「アドリア海の真珠」と呼ばれ、一面の青い海と青い空に囲まれ、オレンジ色の屋根と白い壁で統一された建物群が映える素敵なところだ。
ところが5月のバルカン半島は例年にない雨続きで、現地の人もこんな天気はめったにないと嘆いていた。クロアチアと接するイタリアでは洪水が起きて、イタリアの首相が広島サミットの途中で帰国したほどだ。
前置きが長くなったが、そんな雨の中、ドゥブロヴニクの街を囲む城壁を1時間歩くことに。傘をさしながら、妻を励ましなんとか一周する。
建物群は雨でもきれいだったが、海と空は鉛色で「青い海と青い空」とのギャップを感じる。これでは街全体を見渡せる『すじ山(ドゥブロヴニクの北側に位置する山で、標高412m)』からの絶景もダメかなと不安になる。
さらに、ロープウェイも止まり、現地のガイドさんも「こんな天気だと山頂に着いても飛ばされるだけよ」と、以前に行った時の悲惨な写真を見せてくれて絶望的になる。
こんなところがあるとは…。普段行けないベストポイントに!

「どうしよう?」と悩んでいると、ツアーメンバーのある男性が、「ダメもとで一緒にタクシーで頂上に行きませんか?」と声を掛けてくれた。
「もう来ることもないかもしれないし、行かなかったこと自体に後悔はしたくないな」と、タクシー乗り場へ。タクシー乗り場に着くと、ニコニコしながら腕を組んでちょっと陽気なドライバーが立っている。「この人で大丈夫かな?」とちょっと不安もよぎったが、値段交渉もスムーズにいったので「いざ山頂へ!」。
話はそれるが、クロアチアはサッカーが強い国なので誰もがサッカーファン。昨年のカタールワールドカップで日本がベスト8を掛けて戦ったところだ。PK戦の末、日本は惜しくも負けてしまったが、「日本も強いよ」とドライバーは日本を賞賛してくれた。ただ、知っている選手の名前は「ナカタ」だけとのことなので、どこまで日本を知っているかは定かではない(笑)。
細い山道を登ってしばらくすると、「ヘイ、カモヒヤー」とタクシーを止めて我々を連れ出す。何が起きたのかと思ったが、「ここはベストポイントの一つ。俺が写真を撮るからそこに並んで」という感じで、パシャパシャとドゥブロヴニクの街を背景に写真を撮ってくれるではないか。
「他のドライバーはやらないよ!」と自慢していたのも面白い。確かに止まる車は一台もなかった。

さらに他のベストポジションでも同じことをしてくれる。それは危ないだろうと思う手すりの上に乗ってバチバチと何か叫びながら写真を撮ってくれる。ドライバーの心意気で雨のドゥブロヴニクが、私にはアドリア海の真珠に見えてきた。素晴らしいの一言が全身に駆け巡っていった。

自分に問いてほしい。「なんのために来たのか?」と。
もし、天気のせいだと嘆いたままだったら、何もできなかったと思う。雨の中でも今できることは何かと諦めないことが、愉快なタクシードライバーに巡り合わせてくれたのだと思う。
とはいえ、嘆いてはいけないということではない。天気が悪いことが不本意であれば、思い切り嘆いてもいい。ただ大事なことは、天気など何かのせいにして自分の行動まで支配されないことだ。
天気のせいでイライラしたままでは、なんて私は運が悪いんだという感情に支配されて、すべてが悪い方向に向かうばかり。
雨は残念だけど、「私たちは何をしに来たのか?」と本来の目的を自分に問いてほしい。すると「二人で旅を楽しみに来たんだ」と本来の目的を思い出すことができる。
そうなったら、しめたもの。イライラは減り、楽しめることを探すワクワクが沸き起こる。
そして当初予定していなかった思わぬ楽しみが見つかることだってある。今回のタクシードライバーとの時間は、まさに思わぬ収穫だった。
もし楽しみが見つからなくても、楽しむために試行錯誤するだけで、後悔はだいぶ残らなくなる。
想定外を楽しむべきだということは旅に限らず、人生全体にいえること
おかげさまで、ディナーのときは雨もやみアドリア海の港を眺めながら、素敵なレストランで生ガキなどクロアチアの海鮮をワインと一緒に楽しむことができた。

最後に、これは人生に似ているような気がする。
想定外のことが起きたとき、嘆いてイライラしたままでは人生を楽しむことはできない。
想定外を受け止めて、本来は何をしたかったのかを思い出し、いったんリセットして自分のできることを探して行動に移すことが、人生の楽しみになっていくのではないかなと、人生の先輩からアドバイスをしておきたい。

人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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