他人も自分も、いったんは受け止める。すべては、そこから始まる。

[ 人生100年時代、今日からできる!後悔しない生き方 ]

相手を受け“止める”こと自体が大事。でも全部を受け“入れ”なくていい

とうとうこの日が来てしまった。今回がデジタルデンでの最後の記事となってしまったのだ。2年4カ月の間、お付き合いいただいた読者の皆さんに心から感謝申し上げる。

振り返ってみると、パートナーシップのことも部下やお子さんのことも、自分の周りに起きていることも、それにどう向き合うかで人生が変わってしまうとお伝えしてきた。

「向き合う」か「逃げる」かの選択が、人生を後悔するかしないかを決めると言っていい。そして選択するとき、「幸せに生きる」という目的に照らし合わせているかが大切だ。
幸せの定義はそれぞれだと思うが、この選択は私にとって幸せなのかと一度は考えて欲しい。その上で「向き合う」か「逃げる」かを選択する。これもしっかり向き合っている証拠だ。


向き合い方で一番大事なことは、受容(受け止める)というマインド(心構え)。そんなことをしたら押し潰されてしまうと不安になると思うが、自分の中にいつも100%全部を受け“入れ”なくてもいい。そんなことをしたら、いつでも相手の言いなりになることにもつながってしまう。どうしても受け入れられないものからは、逃げたっていい。

キャッチボールのように、相手のボールを一旦受け止めること自体が大事なのだ。相手にとっても自分を受け止めてくれたと安心できる。だから相手は、心を開くことができる。

自分にとっても、相手を知ることができ良好な人間関係が生まれるきっかけとなる。さらには、今までキャッチしないで自分の世界を狭めていたことに気づき、こんなこともあったのかと好奇心も湧いてくる。オープンマインドになりなさいとよく言われるが、受容することがその一つだと考えている。

「みんな違う」という当たり前に、人間はなかなか気づかない生き物


ところが、かつての私は(いつも自戒ばかりで恐縮している)、仕事のできない部下を見ると「なんでできないんだ? ちゃんとやれ! 仕事だろ?」と怒鳴っていた。
もし、かつての私が『部下と自分との違い』を受け止めていたら、どうだろう。目の前にいる部下を見て「そうかこの子は私と同じようにはできないのか」と冷静になれたのではないかと反省している。それができない故に部下を潰してしまったのだ。

部下は自分と同じようにできないことも事実、ミスをしてしまったことも事実。それをいくら責めても何も改善しない。お互いに誤解を生み人間関係が悪化するだけだ。
だから、違いがあるという現実を受け止めて、幸せになるために次に何をするかという選択をして欲しい。

違いを受け止められないと感情的になり、受け止められると冷静になれるというこの差は、人生で大きな差を生んでしまうのではないかな。ましてや多様性の時代、『違い』を受け止めない限り生き抜いていけないだろう。

即決が偉いなんて、誰が決めた?


もう一つ受け止め方で大事なことがある。それは『白黒思考』で決めつけるのではなく『グレー』を受け止めることだ。

かつての私は、即決することが優秀なことだと思っていた。即決することが、もちろん必要なときもある。だが、よく状況がわからないときに、その癖が抜けきれず即決することで何度も失敗してきた。

例えば、相手が気に入らない態度をとると、この人はダメな人だと決めつけてしまうことはないだろうか。決めつけは、相手の才能や可能性を潰してしまうだけでなく、お互いに誤解を生み人間関係が悪くなるばかりだ。

パートナーや部下やお子さんに対しても、決めつける前に、もう一度相手に関心を持って、どんなことが好きなのか得意なのか、何を大切にしているのか観察して欲しい。意外にグレーで優柔不断なところに、慎重さや探求心があったりするものだ。

もっと長い目で見ると、55歳で挫折して出世街道から外れた私の経験がある。このままで良いのかと悩み優柔不断な状態となって、どうするか答えは出せなかった。
ちょっと暗い時代だったが家族の応援もあり、答えの出ないグレーな状態に耐えることができた。

時間は掛かったが、グレーの状態を受け止めることができたので、今こうして読者に記事も書けるようになった。答えのないグレーの状態に耐え、幸せになるための道を探し続ければ必ず道は開けると信じている。

許せない自分も受け入れられてこそ、真の幸せに近づける


「ありのまま」という言葉が流行ったことがある。
「ありのまま」とは、どんなことだろうか。たとえ、どんな人だろうと、自分のことだけを考えている邪(よこしま)な自分もいるし、世のため人のためと考えている立派な自分もいる。
どっちも自分なのだ。どんな自分であろうと、それに気づいて受け止められることが、ありのままを受け止めている状態ではないかと考えている。

ときに許せない自分がいるかもしれないが、許せない自分も受け止めて欲しい。自分で自分を受け止めることができたときが、本来の自分なのだ。
立派じゃないけれど、そこそこやってきた自分を好きになれないだろうか。いや、好きになって欲しい。そこから、何をしたかったのかどこを目指すのか自分に問い、ありのままの自分で前に進んで欲しい。

後悔しない生き方とは「今、私は精一杯自分に向き合っている」と思えることだと。少し窮屈な人は、その意識を持って自分のできることをすれば良い。それで十分だ。

私もまだまだかもしれないが、これから訪れる『試練や老い』に向き合っていこうと思う。この星に笑顔でさよならを言えるように。もしサボっていたら叱って欲しい(笑)。


最後に、この記事を書くにあたり、たくさんの方から指導と応援をいただいた。この場を借りて心から感謝申し上げたい。私の拙い文章を大人の文章に編集してくれた敏腕編集者の杉浦博道さん。私の記事を親身になって応援し続けてくれたデジタルデンの関係者のみなさま。本当にありがとう。

そして、読者の皆さんが持ち場で活躍している姿を思い浮かべて筆を置くことにしよう。また、どこかで!


人の可能性を最大化させ、日本を再び世界のリーダーにする」という未来実現のために、全国の企業に対し「会社の未来を担う次世代リーダーを育成する」ための活動を行う。
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