
質のよい睡眠に適した色は? <後編>
[ ~ わたしを磨く色彩の魔法 ~ ]
前回の記事「質のよい睡眠に適した色は?<前編>」では、寝具に「白」を選ぶときの留意点や、ベッド周りにあると落ち着ける色「青」についてお伝えしました。
「質のよい睡眠に適した色は?<前編>」はこちらからご覧いただけます!
今回は<後編>です。安眠につながる色の使い方を、ぜひ参考になさってくださいね。
リラックスできる「パジャマの色」は?

インテリア小物や寝具の色だけでなく、就寝前の時間に着ている部屋着やパジャマにも、リラックスできる色を選びましょう。
まず、休息や安眠のために「避けたほうがいい色」についてお伝えします。
赤・オレンジ・黄色など「暖色系の色」には、人の「交感神経」を優位にする作用があります。心身を興奮・緊張させ、活動のスイッチを入れる色なのです。そして、その色みが「鮮やか」であるほど、心身を目覚めさせてしまいます。元気になりたい、明るく楽しい気持ちになりたい時にチカラをくれますが、就寝前や就寝時には向いていない色なのです。

暖色系の色を部屋着やパジャマに選ぶ場合は、「ピンク」「クリーム」「ベージュ」など、淡い色みや、少し「くすんだ」明るめの色みにするといいでしょう。薄い・淡い色みは「優しさ・やわらかさ」のイメージとつながり、少しくすんだソフトな色みは「穏やかさ・やわらかさ」のイメージとつながるので、リラックスに向いています。
暖色系の色と反対に「寒色系の色」は、自律神経のうち「副交感神経」を優位にしてくれる色で、心身を落ち着かせてくれます。青系の色の中で、「薄い水色・空色」は「優しさ・やわらかさ」も感じさせるので、安眠に向いているでしょう。
また、暖色と寒色の間の色である「中性色」の「緑」も、心と体を落ち着かせてくれる色です。いずれの色を選ぶにしても、「鮮やかな色み」は避けて、パステルカラーなど「穏やかな色み」から選んでみましょう。
なお、「中性色」の「紫」は、感情を刺激することがあり、安眠には向いていないようです。「紫系の色」を取り入れたい場合は、気持ちをリラックスさせてくれる「薄いラベンダー色」がいいでしょう。
そして、身に着けるものには、肌触りの良い「素材」を選ぶことも大事です。就寝時、人の「顕在意識(けんざいいしき)」は眠っていますが、「潜在意識(せんざいいしき)」は起きています。眠る時こそ、五感の「心地よさ」を大事にして、自分自身を「大切な人」として扱ってあげてくださいね。
リビングや寝室の「照明の色」は?

質のよい睡眠のために「照明の色」を選ぶことも大切です。眠りに就く前の4-5時間は「安眠のための準備時間」ともいえるでしょう。その時間帯を過ごす食卓、リビング、浴室、寝室の「照明」にも工夫をしてみてください。日が沈む時刻にカーテンを閉めたら、部屋の中は明るくし過ぎず「温かい色みの照明」を使うといいでしょう。
「白っぽく青みがかった光」(「昼光色(ちゅうこうしょく)」など)には、脳を覚醒させる作用があります。集中力を高め、仕事や勉強の効率を上げるのに適した色ですが、眠る前の時間には向いていないのです。睡眠前の時間を過ごす場所には、温かみを感じる「オレンジっぽい光」(「電球色(でんきゅうしょく)」など)の照明を選んで、リラックスして過ごしましょう。
現在の私たちの生活スタイルでは、ついつい寝る直前までスマホを見てしまいがちです。けれど、就寝前にPCやスマホなどの明るい光を見るのは、安眠のためには良くないこと。気をつけましょう。
朝の目覚めに適した色は?

身体のリズムを整えることは、質の良い睡眠につながります。そのためには、夜の「就寝」だけでなく、朝の「目覚め」も大事です。朝、目が覚めたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。そして、明るい場所で朝食を取り、体温を上げることが大切だそうです。

朝は、「交感神経」を優位にする暖色の「赤」を取り入れてみましょう。赤は、血圧を上昇させ、脈拍を速め、筋肉を緊張させ、体を活動モードに切り替えてくれる色。朝食で使うマグカップの色を「赤」にしたり、目に入る場所に赤い小物を置いたりして、心と体を起こしてあげてください。
周りにある色は、心と体に作用します。ぜひ、色のチカラを活かしてくださいね。そして、色を身近に取り入れる時、「自分にとって心地よく感じる色」を選ぶことも大事です。まずは、取り入れやすい小物などから色を試してみてください。
2回に渡り「安眠につながる色の使い方」についてお伝えしました。次回もお楽しみに!
*色には必ず、ポジティブな側面とネガティブな側面があります。また、ここで解説している色のイメージ・意味は、色の持つ一般的なイメージ・意味の一部になります。色には、「多くの人の共通語になっている意味」もあれば、「個人的な経験とつながる意味」もあります。「この色は良い色」「この色は悪い色」という区別はありません。
*参考文献 :『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか 人生が変わる色の魔法』佑貴つばさ著 マキノ出版、『色とココロの教科書 驚くほど自分の可能性がわかる色彩心理』佑貴つばさ著 ごきげんビジネス出版

「色とココロのコンシェルジュ」、レゼル・ド・マクルール~私色の翼~代表。色彩心理カウンセラー。
「女性を内側からも外側からも輝かせる」ためのセッションやワークショップ、セミナー、企業研修を行い、好評を得ている。佑貴つばささんの紹介ページは→こちら
就寝時でも潜在意識は起きていて色を感じるとのことですが、目を閉じていますし、部屋の照明も消しています。このWebページの内容が真実で科学的なものだとしたら、客観的な研究データのようなものを知りたいです。心理学は体の構造、作りに関しては扱わないかもしれないですけど、統計的なデータがあればそれらの因果関係から仮説を考えたいです(ので書かれているWebページがあれば教えて頂けるとありがたいです)。
縄跳びの少年さま
佑貴つばさです。コラムを読んでくださり、コメントをくださり、誠にありがとうございます。
ご質問について。
「色の違い」は物体が反射(・透過・吸収)している「光(電磁波)の波長の違い」によるものです。
そして、目以外に私たちの皮膚にも、その電磁波をキャッチする受容のシステムがあるとされています。
その為、目を閉じていても色を感じることができると考えられています。
(皮膚では、目で見ることのできない紫外線や赤外線も受容しています)。
ただご指摘の通り、体の構造と照らした客観的な研究データについては弱い部分もございますのと、「光が全くない(0)」の状態では色の違いを捉えることはできないのではないかと考えています。コラムにも書かせていただいた通り、眠りに就くまでの時間には「心地よいと感じる色」を取り入れ、眠りに就いた後の時間には「心地よいと感じる素材」により重きを置くとよいかもしれません。
縄跳びの少年さんのコメントにございました通り、仮説を立てて考えていただけると、とても有難く存じます。
以下に、参考となる書籍とサイトをご紹介させていただきます。
『第三の脳』
https://www.amazon.co.jp/dp/4255004013
「西川公式サイト」
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20200206111755/
今後ともよろしくお願いいたします。