よくメモは取るけど見返さないし、何ならぐちゃぐちゃになっていて何がなんだかわからない。そんな人は「Obsidian」を使うといろいろはかどるから超オススメ。

「あ、この人(本)いいこと言ってる」「スクショ撮っておこ」「あとでテーマごとにまとめるか」。そうしてただただバラバラのメモ書きがあちこちに散らばっていく……そんな経験はないだろうか?(もしかして自分だけ? いや、そんなことはない)。特にスマホやタブレットで簡単に保存できるようになってからはその数が増える一方。これはそんな私のような人に向けた、半ば捨てられたメモを生き返らせるアプリ「Obsidian」の紹介記事である。年末年始は掃除だけじゃなく、大量に貯まったメモも整理しよう。

なんでいつもメモは貯まる一方なんだ? 

 

私のデスクトップにはいろいろなタイトルのメモがあふれている。たとえば「キャンセルカルチャーとは」「○○さん(著名人の名前)発言まとめ」「青春はやっとけ」(?)「ビールのあて」……それらはワードファイルだったり、テキストだったりして、その上スマホでスクショも撮るから、メモっぽい画像データも大量に保存されている。
  
なぜメモを取るのか? それは、あとあと何かに役立てるためである。あとで掘り下げて知識化したり、いつかのためのネタだったり。Webサイトをブックマークするようなイメージかもしれない(Chromeのリーディングリストもそうだ)。でも、その大量のブックマーク……あとで読む?

どうして読まないのか? メモは本を読んだり、誰かの発言を見たり聞いたり、ふと歩いているときに思いついたり……つまり思いがけないときにするもの。だから、メモはその都度、ランダムに書かれる。あとでジャンルやテーマごとに整理するならまだしも、なかなかそんなこともしない。だから大量のメモたちは読まれることもなく、活用されないまま眠っているのである。

するとどうだろう。せっかく有益なはずのメモは、いつまでたっても私の血となり肉とはならない。ああ、いったいどうすれば!? メモを取るときは、少なくとも「覚えておきたい」「何かに使えそう」と思っていたはずだ。それなのに、いつまで私のメモは寝ているんだ? こんな調子ではいつになっても私はスマートで、創造性あふれる人間になれないじゃないか。

そこで、Zettelkasten(ツェッテルカステン)ですよ

 

メモをしても見返さない、どっかに行ってしまう。それは言い換えればメモの取り方や管理方法がずさんだからだ。その問題が解消できれば、もっとうまくいくはず。そこで登場するのが、「Zettelkasten(ツェッテルカステン)」だ。ドイツの社会学者、ニクラス・ルーマンが提唱したとされるメモ術である。メモの取り方は山のようにノウハウがあるが、これこそ「そうそう、これだよ、これ!」というものなのだ! バラバラなメモを有機的につなぐ最高にいかした方法なのである。

簡単に説明すると……
・白紙のカードとペンを用意する
・1枚のカードには1つのテーマ、アイデアを書く
・必ずほかのカードとリンクさせる

本当はもっとちゃんとしたルールがある。ただ、それはしっかり解説してくれているサイトや本がある(※1)。だから、そちらを見てほしい。

ここで強調したいのは、「カードがつながる」ということだ。新しいメモが過去のメモとつながる。それが新しいかけ合わせとなってアイデアを生むこともあれば(※2)、知識が深まることもあるだろう(※3)。何気ないメモが、ちゃんと積み重なっていく。これまでのように、「ただメモしただけ」で終わらないのである。

※1 参考サイト
・効率的なノートを作成できるドイツの社会学者が生み出した方法「Zettelkasten」とは?
https://gigazine.net/news/20200604-zettelkasten-note/

・ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンが研究と執筆の相棒にしたアナログのカード型ノートシステムZettelkasten(ツェッテルカステン)とは?
https://jmatsuzaki.com/archives/26856

・日本語で読める書籍
『TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』(日経BP)

※2 アイデアは組み合わせによって生まれる。これは名著『アイデアのつくり方』に書いてある。とても薄い本で、30分もあれば読める。だけど得られるものは非常に大きい。まだ読んだことがない人は今すぐにでも買ってほしい1冊。

※3 人は異なる文脈で6回、出合うと忘れなくなると言われている。たとえばある英単語を単語帳で暗記したら、新聞や小説、ドラマなど、異なる文脈で6回見かければ定着する……らしい。

やっと「Obsidian」の話

さて、そんなすばらしいメモ術である「Zettelkasten(ツェッテルカステン)」、どうやって実践に移そうか? 紙とペンがあればすぐにできる。実際、ニクラス・ルーマンは白紙のカードとペン、そして膨大なメモが書かれたカードを大きなキャビネットで管理していたそうだ。

でも、メモを取るタイミングは予測不可能だから、いつも携帯しているスマホがいい。そして、スマホでメモを取るのに最適なのが、「Obsidian」というアプリなのである(PC版もあるから両方使おう)。

Obsidianはマークダウンエディタだ。マークダウンとは、簡単な記号で見出しやリスト、リンクなどを作る方法で、それができるエディタのことを言う。

#で見出し、*でリストを作れる

もちろんマークダウンエディタはたくさんある。Obsidianがユニークかつ最高なのはリンクの方法である(※4)。先ほどからくり返し書いているように、一つ一つのメモはバラバラに放置されてしまいがち。しかしObsidianのリンク機能を使うと、簡単に関連づけることができる。その上、「グラフビュー」という機能でリンクの様子が一目瞭然なのだ。

ヘルプをグラフビューで見たところ。各メモが網の目のようにリンクしているのがわかる。これを見るだけでも楽しい

こちらもくわしい使い方はググればたくさん出てくる(※5)。どれもやさしく解説してくれているから、使い方に困ったときは参照してほしい。とりあえずはアプリをダウンロードしたら最初に歯車マークをタップし、「About」を押して言語を日本語に変えておく。そして「メモをする」「各ノートをリンクする」だけだ。

メモにタイトルをつけ、本文を書く。そして鎖マークをタップして関連するメモとリンクさせるだけ。リンクをタップするとそのメモにも飛べる

Obsidianを使うと、これまでのメモがムダにならないし、これからのメモ生活もずっとはかどるようになる。そこに魅力を感じていただけたなら、今すぐこのページを離れてアプリをダウンロードし(個人利用なら無料!)、眠ったままのメモたちを今年のうちに叩き起こそう。

【ダウンロードはこちらから】
https://obsidian.md/

※4 Obsidianは、あくまでもその場で取ったメモを、あとで見返したりするのに非常に便利だということ。EvernoteやNotionのようなノートアプリとは使い道が違うことは注意したい。

※5 参考サイト
・Obsidianというアプリをより良く知るための外部リンク集
https://pouhon.net/obsidian-articles/6396/

・最強のメモツールObsidianのインストール&使い方
https://degelog.com/obsidian-how-to-use/

・公式ヘルプ
https://publish.obsidian.md/help-ja/

(文責:佐藤直樹)


本記事は「作家たちの電脳書斎デジタルデン」編集部作成、2021年12月28日掲載記事を転載したものです。内容・状況などは記事作成当時のまま掲載しています。

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