【選】日本一上陸困難な断崖絶壁の孤島「青ヶ島」完全攻略マニュアル ~vol.4【3日目

(文と写真:杉浦博道氏。本記事は「作家たちの電脳書斎デジタルデン」2022年8月18日掲載記事を転載したものです。内容・状況などは記事作成当時のまま掲載しています)。

<前回の記事>
日本一上陸困難な断崖絶壁の孤島「青ヶ島」完全攻略マニュアル ~vol.3【2日目】

ヘリも船も今日動くかは、朝の放送で知らされます

今日で青ヶ島ともお別れ。そろそろ家に帰って何をしようかと思う気持ちもある一方で、苦労して来たのに最後となると寂しく、仕事漬けの毎日に戻るのが正直嫌で(とはいえ、夜中に仕事を割としてました…)。

結局はずっと曇っていたので、青ヶ島が自慢したい一つである星空が全く見られませんでした…。山頂からの二重カルデラも全く観られなかったし💦 ゴツイ三脚も高級モデルのカールツァイスの単焦点レンズも、結局は全く使わなかった📷 不完全が残りまくりですが、いつかリベンジします!

青ヶ島村役場『青ヶ島MAP』より。天気がいいと、こんなきれいな星空が眺められるそうです

上陸も運なら、上陸出来た後も運だらけ。自然の厳しさというより、自然は人間ごときではコントロールできないことを思い知らされました。そういえば昔、自然科学の雑学本で、台風を消すには原爆が300万発必要だとも読んだことがあります。10万発というデータもあるようでバラつきはかなりありますが、いずれにしても人の力では太刀打ちできないことだけはハッキリしているでしょう。

予定より早く青ヶ島に行くことになり、仕事に余裕がそこまであったわけではない時期だったので、なんだかんだ帰れないとマズそうな気が増してきました。

ヘリも船も運行状況は、朝に島中に流れる野外放送で知らされます。曇っていて不安でしたが、ヘリは運行予定とのこと。ああ、よかった…。朝食を済ませ、元村長の宿のご主人にお礼を言ったりして、お別れです。

島でしか買えないアイテム、結構あります

そしてレンタカーの精算もします。清算後も乗車して、最後はヘリポートで停めっぱなしでOKとのことで、とても助かります。「青ヶ島レンタカー」は「十一屋酒店」の近くで、同じ家族で経営しています。このように島民の方は、兼業が当たり前のようです。

土産は初日に買っていましたが、買い残しがないか確認します。「十一屋酒店」の土産コーナーの一角は撮影&ネット上にアップOKとのことなので、載せますね。気になるものは色々とあってきりがなかったのですが、普段は島にいらっしゃらない息子さんのCDを買い忘れたのが特に気残りとなりました。

八丈島空港でも、竹芝桟橋でも売っていないアイテムもあり、先のCDも、娘さんお手製のケーキやジャムも、ここでしか買えませんよー。ケーキは食べましたが、味が濃厚でレモンピールは青ヶ島産使用です。Tシャツ、ポストカードも、他では見かけた記憶がないような。

ヘリは就航率が高いと安心してはならない

ヘリポートに到着。するとだんだん霧が濃くなってきて、大丈夫かな…?? 「“条件付き”運行」と、「条件付き」をやたらスタッフから強調されるようになり、不安が高まります。

搭乗できるようにと、荷物検査や体温測定なども行われます。ヘリの到着を待つ間に流していたヘリの会社のビデオがレトロで、ブラウン管で4:3の画面で映されていたのがいい味わいを出していました。

ヘリが八丈島を出たことを聞き、安心します。しきりに青ヶ島の天候を、ヘリのパイロットとやりとりしています。やがて、ヘリは青ヶ島上空に着いた様子。

しかし、真っ白で地面が見えないらしいです…。ヘリポートの様子を何度も確認し、ヘリは青ヶ島上空を旋回したようですが、よく見えないヘリポートに着陸は危険だと判断し、ついには八丈島に引き返してしまいました…。ヘリポートではサーチライトを煌々と照らして位置を知らせようとしたりと、できることはやり尽くした感じです。

ヘリは1日1便だけです。1機のヘリだけで伊豆諸島を飛び回っているみたいなので、そうなっています。

宿のご主人が言うには、有事の時は夕方に臨時便が増発される場合もあるとのこと。費用は村が負担するそうです。とてもありがたいのですが、台風は近づいているので、朝の今がダメなら夕方はもっと可能性が低いでしょう…。

船もヘリも、色々と手を尽くしてくれます

待合室には当然、悲鳴が上がります。しかもこの日は台風が近づいていたので、船なんてもっと動く様子がなさそうです。台風が過ぎ去るまであと数日はかかるみたいだし、何日延期になるのか💦 本当に焦りました。

その時です。「船は“条件付き”で運行」と聞きます。マジか!? レンタカーのスタッフさんからも、「港に置いて行っていいですよ」とご配慮の言葉が。欠航のショックは大きいため、船はあまり期待しないようにと自分に言い聞かせつつ、とりあえず港に向かいました。

ヘリも船も、決まった仕事だけしていないことがわかっただけでも、感銘を受けました。ヘリについてはスタッフさんがやるだけやり尽くしたことは前述した通りですが、船も同じ。というのは、定刻よりも1時間近く早く到着&出発することにしたそうです。台風が近づき波がだんだん荒くなるから、少しでも海面が穏やかなうちに港に横付けしようとしてくれたのでしょう。

船は港にずっと停泊していると荒波で流されたり破損するリスクがあるので、クレーンで吊るして陸地の高い場所へと移動させる。これも青ヶ島ならでは。ただし「八丈島⇔青ヶ島」の定期客船の「くろしお丸」は乗客と荷物の行き来が完了次第速やかに出発するので、停泊だけで済ませる

とりあえず乗船券を買って待ちます。船だって港に来て停泊しないで引き返したことはあり、青ヶ島出身でYouTuberとして知られる佐々木かえさんの「青ヶ島ちゃんねる AOGASHIMA Channel」でも観ました。
https://x.gd/B6f3t

そういえば御本人ともご挨拶して少しお話ができればと思っていましたが(お互いに希望や条件が合えば、お仕事でご一緒できればとも思い)、ちょうど内地に行かれていたみたいで、入れ違いとなりました。

なので船が見えてきても、まだ安心できません。

嘔吐専用トイレって、初めて見ました

結局は船は停泊に成功し、無事に乗ることができました。まさか船で帰れるとは思っていなかったので、ビックリです。ヘリも船も両方乗れたので、結果的に満足でした。

突然の欠航には、とにかく諦めず情報収集に徹するしかないと思います。あとは延泊のための宿探しや、何をして有意義に過ごすのかにすぐに頭を切り替える柔軟さも問われた気がします。

なお、ヘリはキャンセルとなりましたが、こちら(客側)の都合ではないので、クレジットカードからの引き落としがなくなるだけで済むため、こちらでは何もしなくてOKです。

船の「くろしお丸」の内部は広々していて綺麗。Bデッキ(2F?)は椅子があり、Cデッキ(1F?)はカーペットが敷かれていて寝転がれます。屋上に出れば、外を見渡せます。

トイレは親切な設計で、嘔吐専用トイレまで用意。ただ、酔うほどには揺れはそこまでありませんでした。

電波は割と通じました。八丈島と青ヶ島の間でも、3Gになってしまったものの Google マップも Apple マップも機能してくれました。

明日葉ビールに、明日葉ラーメンに、明日葉団子に…

八丈島の港(底土港)に着くと、そこから空港は徒歩だと40分近くかかってしまいます。港の待合所にはタクシー会社のリストがあるので、そこに電話すれば来てくれました。こういう時って、みんなが上から順にかけると思ったので、下からかけるようにしています。それもあってか、5分で来てもらえました。

空港にはお土産屋さんが3軒に、レストランが1軒。数時間時間を潰すには、十分です。ランチも食べておらず夕方になっていたので、食事をすることに。青ヶ島からの帰りを船にすると、どうしてもこのようになります。

伊豆諸島全体で名物の明日葉(あしたば)は、セリ科シシウド属の多年草。今日葉っぱを摘み取っても明日にはもう若葉が生えているという生命力の高さから、「明日葉」と名付けられたのだとか。中でも八丈島で特に食されることから「八丈草(はちじょうそう)」の別名も持ちます。

明日葉の本拠地(?)の八丈島では、その明日葉のメニューがビックリするくらい充実していました。
・明日葉青汁 100円
・明日葉生ビール 500円
・明日葉団子 400円
・明日葉ラーメン 920円

「あ゛~」、考えるのも面倒なので、全部頼むことにしました。
全体的に体によさそうな苦みが効いていまして、ビールは元々苦い飲み物なので特に苦さが強かったです。

島寿司を食べておらずレストランで見かけましたが、要予約とのことでこちらでも食べられませんでした。飛行機がそろそろ出てしまうので。

そういえば東京都心でも八丈島料理専門店があります。Google マップで検索すると、23区内でも軽く10軒以上はありそう。中でも池袋にある「居酒屋 八丈島」というストレートなネーミングの店が前から気になっています。
https://hachijoujima.owst.jp

実は青ヶ島旅行の数日前に、偶然このようなお店も見つけちゃったのです。
■青ヶ島屋
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13184156/

新宿駅から徒歩5分くらいと、アクセスは本物の青ヶ島よりも恐ろしいほど容易。
こちらで青ヶ島の魅力を知ってから行くのもオススメです。
自分は復習のために、一度は入ろうと思っています(見かけた際は、ラーメンや餃子をたらふく食べてしまっていて、お腹がいっぱいだったので入れずで…)。

青ヶ島、これからもっとアクセスしやすくなります

八丈島まで着けば、心配はしていません。でも飛行機はヘリよりは強いとはいえ、霧が濃すぎたり台風が近づいていたりすると欠航になることがあるそうで。

待合室にいると、羽田から飛行機が到着した際に歓声が上がりました。何が起きたの?と未だに謎ですが、恐らくは予定している飛行機がなかなか着陸しなかったのかもしれません。時計をよく見ていなかったので推測になりますが。

乗ろうとしていたのは、1日3便あるうちの最終17:30発。恐らくそれに使われるのが、八丈島空港の時刻表を見る限り16:45着の航空機っぽい。でも時間を過ぎてもそれが到着しなかったから焦って、無事に着陸したから歓声が沸き起こったのかと。
■八丈島空港の時刻表
https://hachijoapo.net

えっ、飛行機って、そんなにすぐ飛ばなくなるの? 普段あまり乗らないから知らないんですが。

もし飛行機が欠航なら、1日休みを追加して明日の船で帰ればいいのかと。防波堤もしっかり整備されていてこちらはそんなに欠航しなそうなので。

青ヶ島の接岸が難しいのは何度か書いてきたとおりですが、青ヶ島の港(三宝港)でも現在、防波堤の建設を進める計画があるそうです。水深があり波が荒いので、工事は一筋縄でいかないようですが、ぜひ実現してほしいです。

1人でも多くの人が、私のような興味本位でも全然いいので、ちょっとでも気になったら気軽に行き来できるようになると素敵かな?と。

関連記事