「なぜ挑戦し続けられるの?」「こわくないの?」 経営者の特性を検証したお話

2022年も3週間が経とうとしています。みなさま、いかがお過ごしですか。
本年もデジタルデンをどうぞよろしくお願いいたします。

2021年11月にスタートした『挑戦者に学ぶ、新時代の生き方』。起業家、経営者、引き継いだ会社を自分の代でガラリと変革させた社長など、自身の考えやアイデアで勝負に挑む人物が登場するこのコーナー。第1回はカメラマン阿部拓歩氏、第2回は起業家土倉康平氏に登場いただきました。(こちらの記事もぜひご覧ください)。

彼らは常に、挑戦し続けます。立ち止まったり後ろを振り返ったりせず、常に前を、鋭い目つきで見つめ突き進みます。この不安定な時代になぜ、立ち止まらず進み続けることができるんだろう、とずっと考えておりました。

そんなことが頭をかすめていたとき、ある事件が起きました。小学低学年のわが子が登校中、一歩も前に進めなくなってしまったのです。

新学期が始まり、重いランドセルを背負い、防災頭巾やらお道具箱やら大荷物を抱えて登校する我が子。あいにく前日に関東で降った雪の影響で道は滑りやすく、母が途中まで付き添いました。歩き始めてしばらくすると、我が子が急に立ち止まりました。顔を見てギョッとする母。涙をボタボタこぼしてマフラーがぐっしょり濡れているではありませんか。

「学校、行きたくない」

でたー。悪魔のセリフ。ここで言うなよ。荷物を持たされて重いし寒いし、ママも泣きたいよー。

我が子の体を抱きしめると体はガチガチ。いつもはふわふわなのに硬くこわばり、全身で学校に行きたくないことを表現していました。ああ、人って前に進めない時はこんなに硬くなっちゃうんだとわかりました。これではとても足は前に出ないし、無理して歩けば凍った道に足をとられ滑ってしまう。どんな言葉をかけたって、鉄の鎧で跳ね返されてしまうに決まっています。

しばらくワンワン泣かせ、背中をさすり様子をみました。少しずつ少しずつ、体が溶けていくのが手に取るようにわかりました。子供は正直なものです。心と体が直結しています。警報が鳴る心の状態を、体がそのまま表現していました。

やっと柔らかくなった我が子はなんとか校門をくぐっていきました。朝の大仕事が終わりガックリしましたが、母の体には、硬くなった我が子の感触がズンと残りました。

人は怖さでいっぱいになると、硬直してなにもできなくなる。

私は以前、心も体もフリーズして前に進めない時期がありました。その時は朝目を覚まして日々の営みをすることがただただ辛く、心も体も鉛のような重量感がありました。

そう、挑戦者たちは「動けなくなる」ことがもっとも恐ろしいことだ、ということを知っているのではないでしょうか。だから常に「動き続ける仕組み」を考案しているのではないでしょうか。

若き日の「ミュージシャンになりたい」という夢。「家業を継ぎなさい」という見えない圧力を感じながらも諦めずに突き進み、メジャーデビューのチャンスを掴んだカメラマン阿部氏。夢追いを終え実家を継ぐ決心をした彼は、現在「キャンピングカー」で全国各地を旅しながら撮影するという、まさに「自ら動き続けなければどうしようもない」状況をつくります。

「自分たちがワクワクすること」に焦点をあて、徹底してブレずに「ワクワクを形にする事業」にこだわる起業家土倉氏。「時間は有限、マイナスな感情は1秒でも早くプラスに転じる」という誓約を自身に課し、「ワクワク」の泉が常に勢いよく沸き上がるよう、大好きなクラフトビールとキャンプ、それを共有する仲間との時間を捻出するため効率を重視し行動し続けます。

彼らは「立ち止まらない」「動き続ける」「行動し続ける」仕組み作りのプロなのだと思うのです。立ち止まって動けなくなってしまうこと、子どものように体がガチガチになって前に進めなくなってしまうことの怖さを、誰よりも知っているんじゃないかと思うのです。

どんなに寒くても、飛び起きて出かけたくなるような楽しい予定、食べたいモノをたくさん用意する。
どんなにやりたくない作業も、終わった後いただくご褒美ワインと生ハムを用意しておく。

言葉にすると「なんだその女子っぽい発想」的に聞こえるかもしれません。
けれど実は、挑戦者は何よりそれを重視し「動き続ける」仕組みを日々作り続けているのだと思うのです。

先日、詩人相田みつをの名言を集めたカレンダーをパラパラ眺める機会がありました。

「とにかく具体的に動いてごらん。具体的に動けば、具体的な答えが出るから」
(※幸せのヒント「まず動く」)

なんて言葉に目が止まりました。
なるほどねえ。動かなければ何も始まらないんだよなあ。

というわけで私ごとで恐縮ですが、2022の目標は「動き続ける」にしました。気づくとつい立ち止まってしまう臆病な私。「怖い」と思うと、子どものように足がすくんで前に進めなくなる体をゆるゆると溶かし、しなやかに動き続ける仕組みをせっせと作り進んでいきたい。

今年はどんな挑戦者に出会い、彼らの「生きるヒント」を皆様にお伝えできるか。考えるとワクワクする一方で、「期待に応えることができるか」ちょっぴり体が硬くなります。そんな時は、大好きな餃子をいつ作ろうか、次はどこのワインを飲んでみようか、ワクワクの種をメモに書きだしていこっと。

「人生を少し楽しく、少し優雅に、わりと賢く生き抜くために」というコンセプトのもと生まれたデジタルデン。「挑戦者に学ぶ、新時代の生き方」のコーナーでは、この不安定な時代に明るい未来を切り拓く「生き抜くヒント」を、挑戦者から教えてもらい皆様に伝えて参ります。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


本記事は「作家たちの電脳書斎デジタルデン」編集部作成、2022年1月18日掲載記事を転載したものです。内容・状況などは記事作成当時のまま掲載しています。

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