
「質問」で、漠然とした不安を解消する ~省略を解消し具体化させるのが秘訣
[ 「質問」は単なる「問いかけ」でなく「必殺技」である。 ]
質問をすることで、見えないものも見えてくる
拙著『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)を参考に、1つ前の回の記事”正確な状況を相手に教えてあげる質問 ~「意見言葉」を「真実言葉」に変える”では、「意見言葉」を「事実言葉」に翻訳する方法についてお伝えしました。
今回は「漠然とした不安」を解消する質問についてお伝えします。
「お金のことが不安です…」と相談されることがあります。
でも多くの人は、漠然と不安を感じていて、具体的にどのように不安なのかが「省略」されています。
詳細が不明なために、無意識のうちに不安を大きな壁のように感じ、圧倒されてしまうことがあるのです。
そこで私が、「例えば、お金についてどんな不安があるか、詳しく教えてもらえますか?」と質問すると、「現在は自営業で売上もあり、貯金もできている。しかし、老後、夫婦2人で生活していけるか不安で…」というのです。
いろいろ話した結果、現在の資金繰りではなく、未来の生活費についての不安だということがわかりました。

具体化できたところで、ファイナンシャルプランナーに相談することになり、その結果、今の状態であれば60歳で仕事を引退しても貯金や年金で生活していけることがわかり、不安は解消されました。
「省略」されたことを浮かび上がらせることで、頭の中で不安を膨らませることなく、解決策やとるべき行動が見えてくるのです。
「省略」に関するメタモデルの質問を紹介しますね。
(メタモデルには「一般化」「歪曲」「省略」がある。そのようなものだと解釈してもらえれば、言葉の細かい定義は知らなくて大丈夫です)。
悩み | 私は劣っている (思い込みにハマっている) | 不幸になるのは目に見えている (それ以外の結末がないように感じている) | 夫婦関係に問題がある (固定化された表現をすることで、解決不能に感じる) |
質問 | 誰と比べて?? | 根拠は? | どのような? |
省略された情報を収集することで、悩む必要のないことが明確になったり、解決策が思い浮んだりすることがあります。
海の水が沸かせないのなら、ビーカーに移し替えろ
コンサルティング会社のマッキンゼーの問題解決の手法でも「海の水は沸かせないが、ビーカーの水は沸かせる」というものがあります。
問題が漠然としたままでは解決しないが、情報収集し具体化することで解決の糸口がみえてくるという考え方です。

不安も同様に、漠然としたままでは海の水を沸かすように手のつけようがなく、解決策がないように感じることでも、具体化することでビーカーの水程度になれば沸かせる、つまり解決できるのです。
まずは、質問で情報を収集し、解決の糸口を見つけることが大切です。
会話でも、「なんでもすぐに回答しなくては…」と思っている人は、相手の不安に漠然としたままアドバイスをしようとします。
しかし、これは海の水を沸かすようなもので、相手から「はい。でも、それは難しい…」と言われ、いつまで経っても堂々巡りの会話になってしまいます。
まずは、悩んでいる相手の漠然とした不安を質問し、できるだけ情報を集めて具体的にしましょう。
そうすることで、相手も不安に圧倒されるのでなく、「思ったほど大変じゃなかった」とほっとします。
ほっとしてリラックスすることで、本人から解決策が生まれることも多いのです。
基本的に人間は、他人からのアドバイスに従いたいのではなく、自分のアイディアに従いたいのです。
まずは、質問で情報を収集し、解決の糸口を見つけることを徹底してみてください!
次回は、解決志向未来型の質問についてお伝えします。


著書『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』(明日香出版社)は4万9千部を超え、現在も重版中。「今、読むべき本」ランキング1位を総ナメにした話題作の続編として、待望の2冊目『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』(明日香出版社)が出版された。この新刊は発売前から重版がかかる等、今、注目のベストセラー作家である。複数ジャンルの心理学をベースとした独自の手法を持ち、婚活から就活、人間関係まで、語れないテーマはないと誇れるほどの活動幅を持つ。企業・大学・公共機関での登壇や個人カウンセリングは予約が取りにくい状況である。
資格・専門分野
国家資格 キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、色彩検定1級カラーセラピストパーソナルカラーアナリスト、米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー日本交流分析協会認定インストラクター、協会認定骨格診断ファッションアナリスト。藤本梨恵子さんの紹介ページは→こちら
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