羽ばたく女性に寄り添う「色彩心理の専門家」

今回は隔週日曜日に[わたしを磨く色彩の魔法]を執筆中の佑貴つばさ先生が登場。
2019年『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか』を出版。「色とココロのコンシェルジュ」レゼル・ド・マクルール〜私色の翼〜代表、色彩心理カウンセラーとして活躍する、佑貴つばさ先生の魅力に迫る。

黒は「無難な色」ではない

「シャネルの元マネージャー」という肩書きを聞いて、あなたはどんな女性を想像するだろう。常に最先端のファッションに身を包み、高いヒールで街を闊歩し、アイラインくっきり、ハッキリ自己主張するバリキャリ女性、というのは筆者の勝手なイメージである。シャネルはフランス女性ガブリエル・シャネル(ココ・シャネル)が創業したブランドで、ココ・シャネルの生き方は映画や本でご存じの方も多いであろう。1926年に発表した「リトル・ブラック・ドレス」は黒一色、装飾のないドレスで、女性の魅力をひき立て今も欧米では女性の正装に欠かせない定番アイテムという。

「黒はフォーマルな時に着る、特別な色です。『黒は無難だから』と黒い服を着る大人の女性もいますが、黒は無難な色ではなく、とても強い色なんです」

著書の中でつばさ先生はこう述べている。だがそうは言っても、黒はなにかと便利で、私も無難だからと黒い服を購入したことがある。

黒はシャネルのイメージカラーだし、先生は黒い服に飽きてしまっただけでは? と疑問が湧いた。

鎧をまとっていたシャネル時代

つばさ先生は「可憐」という言葉がピッタリの、花のような女性だ。ふんわり笑った表情は少女のよう。黒い服とはなかなか結びつかない印象だ。

「黒い服は、冠婚葬祭以外では今はパンツを一本持っているくらいで。トップスに黒を着ることはないですね。この本でもお伝えしているように、黒は気高さや意志のある色である一方、顔映りを暗くさせてしまったり、シミやシワを目立たせてしまう色です。そのような理由の他にも、自分を抑え込んでしまったり、気持ちが重くなる気がするので、感覚的に避けて、着ることがなくなりました。

6年前までシャネルに25年勤めていました。確かにその頃は黒い服を着ることが多い時期もありました。周りの同僚も黒を着ている人は多かったですね。あの頃の私にとって、シャネルのマネージャーという肩書きを表現する色が黒であり、自分を支えてくれるというか、自分を強くしてくれる色が黒だったと思います。そうですね、鎧、戦闘服というものだったかもしれません。

でも途中から苦しくなってしまって。本来の私ってどういう人だったっけ。なんとか頑張っている自分もいるけれど、それだけではないよね、と」

自分の言葉でしゃべるのが苦手だった

そもそも、つばさ先生にとって「色」とはどのような存在なのだろう。話は幼少時代に遡る。

「子供の頃から自己表現、言葉で自分の気持ちを表現することが苦手でした。一方で、自分の中にもっと自分をわかって欲しい自分、自己表現したい自分がいるのも感じていました。当時は言葉で表現できないぶん、絵を描いて表現していましたね。今思えば、言葉以外の方法で自分の気持ちを表現する方法の一つに『色』があるということを、子供ながらに感覚として知っていたのだと思います。

30代で色彩心理の本に出会ったのですが、その時『惹かれる色って自分の心と繋がっているんだ、色って自分の気持ちを支えてくれるものなんだ』とわかったとき、絵を描くことが好きだったことと自分の思いがカチッとあった気がしたのです」

外資系ブランド、しかもシャネルとなると、自己主張をハッキリする方が多かったのではないだろうか。

「シャネルで働いていた頃も、自己表現が苦手なことは変わりませんでした。マネージャーになると、周りは自己PR上手の海外経験豊富なデキる人ばかり。その中で自分をうまく表現できないもどかしさに悩みました。ちょうどその頃からでしょうか。黒い服をやめて、大胆な柄の服を仕事で着るようになったんです。言葉ではうまく伝えられないけれど、人と同じはイヤ、私は私らしくいたい、という思いの現れだったのでしょうね。

言葉で自己表現できない分、何かで自分を表現したかったのだったと思います。その後、色彩表現を通じて自分の心の奥にしまっていた『答え』に気づき、25年間勤めた仏ブランドシャネルを辞めて、50代で起業しました」

羽ばたく女性に寄り添う存在であり続ける

「レゼル・ド・マクルール〜私色の翼〜」
つばさ先生の屋号には、どのような思いが込められているのだろうか。

「以前『Eテレ』の番組に出演させていただいたときのことです。出演された女性がビフォー&アフターで大変身されて、変わったご自身の姿に自信がついて、その後もどんどん色を取り入れるようになったんです。
女性って、一度自分で『こんなに変われるんだ』と実感できると、どんどん羽ばたいていかれるんですね。


多くの女性たちが『あなた自身の色の翼』をつけて軽やかに羽ばたいていくことに寄り添う立場でありたい。そのような願いを込めて、『レゼル・ド・マクルール〜私色の翼〜』という屋号のマークには、色鉛筆2本で翼を描いています」

まさに、「つばさ先生」だ。

梅雨時に元気をくれる色のチカラ

湿度が急に高くなり、寒暖の差も激しく体調を崩しやすい梅雨どき。色のチカラで元気をもらうには何色が効果的なのだろう。

「疲れやすいこの時期にオススメな色は、気持ちを癒してくれる『ラベンダー色』です。人が惹かれる色って、その季節に目にする機会の多い色と重なるみたいなんです。薄い紫のラベンダー色はこの時期に咲く紫陽花の色でもあります。濃い紫ではなく薄い紫のラベンダー色をリラックスタイムに取り入れて。心と体を癒してくれます。

『薄いベージュ』は肩の力を抜いてくれる色なので、家の中にベージュを使うといいですよ。優しい気持ちになりたい時は『淡いピンク』を、心と体のバランスを整えてくれる『緑色』もオススメです。

ラベンダー色、ベージュ、淡いピンク、緑、すべてデジタルデンの記事で紹介していますので、ぜひお読みください」

「色彩アトリエ」

最後に、つばさ先生の夢について聞いた。

「大人が子供心に戻って自由に色で自己表現できる場所、アトリエを持ちたいなと思っています。大人のアトリエ。アトリエといっても上手に絵を描くための場所ではなくて、思い思いの色を使って表現したり、綺麗な色のストールが置かれてそれを当てて楽しんだり、という自由な空間。『色彩アトリエ』とでもいおうかな。大人が自由に色で自分を表現できる場所をつくりたい。こんなことを言ってしまったけれど、まだ準備が進んでいないのですよね」

歯に噛みながら柔らかい表情で語るつばさ先生。セミナーやセッションもできる、色とりどりの花畑のような空間が目に浮かんだ。その場所から多くの女性が「私色の翼」を羽ばたかせていくのであろう。

自分らしさを抑えて黒を着ていたつばさ先生だからこそ、自由に生きようと決心した女性に寄り添い、背中を押してくれるのだ。佑貴つばさ先生。名前とは、人の使命を表現していると知った。色のチカラを身にまとい、伸びやかにいきましょうねと優しく背中を押されたような気がした。 

『なぜ、あなたは「黒い服」を着るのか(人生が変わる色の魔法)』マキノ出版
本書では、「好きな色」を「似合う色」にする方法、「顔映りのいい色」を見つける方法、色ごとのコーディネート術など、美しいカラーイラストと共に分かりやすく解説している。
服は私たちの体の大部分を占める。その服に「色のチカラ」を借りて自己表現してもらえば、言葉以上に巧みに自分を語ってくれると感じた。

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本記事は「作家たちの電脳書斎デジタルデン」編集部作成、2021年6月29日掲載記事を転載したものです。内容・状況などは記事作成当時のまま掲載しています。

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