映画『電車を止めるな!』“鉄道会社社長“を演じた胸中は? ~主演俳優・コウガシノブ氏に直撃インタビュー!(前編)~

電車を止めるな!~のろいの6.4km~

『まずい棒』『お化け屋敷電車』などでも有名な銚子電鉄が手掛ける“超C級”映画『電車を止めるな!~のろいの6.4km~』が全国各地で上映されている。銚子電鉄の一日乗車券とお土産付きの当日料金は一般2,000円、中学生1,200円、小学生以下1,000円だ。

この映画は、興行収入を銚子電鉄の変電設備の改修費用を補うために企画されたもの。制作資金の一部は、クラウドファンディングで呼びかけるなどして集められた。筆者も既に2回ほど映画館に足を運んでいるが、観るたびに銚子電鉄のこの映画にかけた想いに心打たれるだけでなく、様々な“気付き”があることに驚かされる。

今回、我々、デジタルデン取材班は、この映画『電車を止めるな!』の主演俳優であるコウガシノブ氏に、インタビューに応じてもらうことに成功した。映画出演に至るまでの経緯や過程を含めた裏話や、主役を演じた胸中がここで明らかになる。

主演自らが宣伝活動を地道に継続中

:コウガさん、本日はお越しいただきありがとうございます。今回は、映画『電車を止めるな!』の主役を演じられましたが、その主役に抜擢された経緯を含めて、色々とお聞かせ願えたらと思います。よろしくお願いいたします。

コウガ:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

:早速ですが、僕はこの映画を既に2回ほど観させていただいておりますが、良い映画ですよね。2回とも見事に泣きました。そのうちの1回は、千葉の京成ローザで上映したときで、コウガさんが舞台挨拶したときでした。

コウガ:2回も!? 本当にありがとうございます。あ、そうだ。その時はお話ができなかったんですよね。いやぁ、でも本当に嬉しいな。

:上映後にご挨拶に伺ったのですが、コウガさんの周りにはファンの方の列ができていて、泣く泣く諦めたんですよ。

コウガ:えっ、本当ですか? となりの売店に並んでる方はたくさんいましたが、僕のところには誰もいませんでしたよ(笑)。

:またまた、ご冗談が上手い(笑)。でも、今こうしてお話しする機会を設けていただき、本当にありがとうございます。

コウガ:いえいえ、こちらこそありがとうございます。映画をご覧になられて、どうでしたか?

:はい、僕は鉄道員時代(元JR東日本の車掌です)を思い出しながら映画を観ましたが、感情移入しすぎてボロボロ涙をこぼしていましたね。特に最後のシーンなんて…。あっ、まだ観ていない方もいらっしゃるので、あまり映画の内容をここで話してしまうのはマズイですね(笑)。

コウガ:いやー、そうですか! 元鉄道マンの方にそう言われると本当に嬉しいな~。ところで、僕の敬礼の仕方とかどうでしたか!? 

:実に綺麗な角度でしたよ! って、コウガさん…。立場が逆転して、僕がインタビューされていますよ! 僕にも質問させてください(笑)。

コウガ:ははは。関さんから色々聞きたいことがありすぎて、すみません!

:それは、この取材が終わった後にごゆっくりと。

コウガ:やった! 今日は長くなりそうだ(笑)。

:では改めまして、映画の手応えについてお聞かせください。動員やTwitterでの反響など、この映画に関わって今に至り、どんな気持ちでしょうか?

コウガ:手応えはですね、これがスタッフ一同が驚いているのですが、意外に評判が良いんですよ。この映画を観て「面白かった」と言ってくださる方が大多数なんですよ。しかし、動員数が増えないという不思議な現象が起きていまして…。

:それは不思議ですよね。

コウガ:そして、僕はTwitterで「全国上映祈願1,000リツイートキャンペーン」というのをやっていて、おかげさまで1,000リツイート以上にはなりました。しかし、これからも銚子電鉄の様々な取り組みと同様に、“泥臭く地道に”続けていきたいと思います。

聞き間違えで返事をしたことが運命の始まり

:今回、銚子電鉄の社長役という大役でしたが、主役抜擢についてはどのような経緯だったのですか?

コウガ:この映画の出演者はオーディションで決められたのですが、実は僕は車掌として受けたんです。

:えっ、社長ではなく車掌ですか!?

コウガ:そうなんです。電車に乗る「山﨑」という役のオーディションに行ったんですね。そして、オーディション会場にいらっしゃた銚子電鉄の竹本社長が、僕の演技を見て、「コウガさん面白いですね。よかったら社長やりませんか?」と声を掛けてくれたんですよ。その時僕は、「車掌」って言われたと思って、「そのつもりで来ております!」と返したら、どういうわけか社長になっちゃったんです(笑)。

:そんなことがあるんですね(笑)。でも貫禄がありますし、結果的に適役だったと思います。鉄道会社の社長を演じるにあたって、意識したことを教えてもらえますか?

コウガ:全国にたくさんの鉄道会社はありますが、銚子電鉄は特殊で鉄道会社でありながら売り上げの大半が食品関連じゃないですか。ですので、鉄道員の役作りというよりは、「銚子電鉄の社長」というスタンスで演じました。

:それにしても、銚子電鉄の竹本社長ご本人を見ているような印象を受けました。

コウガ:それは嬉しい! 実は、銚子電鉄の竹本社長にスカウトされた理由の一つが「波長が合った」ということが一番だそうで、すごく性格が似ているところがあるんです。竹本社長は普段は穏やかで、腰が低く、当たりが柔らかい方なんです。しかし、実は心の中に秘めている想いはかなり熱いものがあるというのか…。

:そうなんですね。

コウガ:それと、竹本社長の抜群のユーモアセンス。僕は役者なんですけど限りなく芸人寄りというか。そういうところも似ていて、「銚子電鉄竹本社長の熱い魂の部分が具現化されたキャラクター」を演じる、と意識させてもらいました。そしたら嬉しいことに、映画を観てくださった方のほとんどが「銚子電鉄の社長さんなのに演技もされるんですね!」と感想もいただくことも多く、役者冥利に尽きます。

この映画で一番こだわったのは「父子の絆」

:いやぁ、コウガさんの役者魂があってこそですね! また、今回の役づくりに関して生活する上で意識したことや、こだわった部分を教えてください。

コウガ:僕は結婚していないので子供がいないんですけれども、今回の役は子供がいる設定なんですよ。ここで本当の親子の絆を見せたかったので、どうやって表現するのかというところにこだわりました。今までは公園など素通りしていたのですが、急に意識するようになりましたね。親子が遊んでいるところを見て、自分自身に子供がいたらと置き換えて。それと同時に早く結婚したいな、と思うようになりました。僕は一体何の話をしているんだろうか…?

:ははは(笑)。

コウガ:でも、本当に助けられたのが、子供役をやった手塚君が本当に良い子で、手塚君だったから愛情を注げたというのが本音ですね。相性も良かったですし、休憩時間もずっと一緒にいました。

:「本物の親子だよね?」っていうくらい素敵な親子でしたよ。ほっこりしますね。こういう裏話を聞けて本当に嬉しいです。

コウガ:本当ですか? 僕個人としたら、その言葉(本物の親子だと思ってもらえたこと)が一番嬉しいです。子供のいない僕が、どのように父親役を演じるのかが課題だったので。

:はい、僕がこの映画の中で涙したのも、ほとんどが父子の絆が垣間見えるシーンでしたから。これもやはり、コウガさんの役者人生の中で積み重ねてこられたものがあってこそなんでしょうね。
 

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 電車を止めるな!公式サイト
 
https://www.dentome.net/
 
 上映スケジュールは
 公式サイトよりご確認ください。
 みなさまのご来場をお待ちしています。

 

コウガシノブ
1974年生まれ、福岡県出身。高校卒業後に大学に進学するも演劇の世界に魅了され、大学ではなく俳優養成所を卒業することを選ぶ。その後、単身上京し、2000年に初舞台を踏む。役者仲間とユニットや劇団などを作るも後に解散し、フリーで様々な劇団に出演。現在は舞台にとどまらず、イベントやパーティーのMC、ラジオパーソナリティー、演出、イベントプロデュース、そしてタレントの西脇理恵と音楽ユニット「無礼講・委員会」を結成するなど、幅広い活動を展開している。


本記事は「作家たちの電脳書斎デジタルデン」編集部作成、2021年7月3日掲載記事を転載したものです。内容・状況などは記事作成当時のまま掲載しています。

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